ノジュール7月号
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散策をするといい。時間に余裕があるなら紀伊勝浦で1泊するのがおすすめだ。紀伊勝浦からは、大阪方面へ向う電車特急「くろしお」に乗車しよう。車両は3種類あってバラエティに富む。パノラマ型グリーン車やオーシャンアロー車両の展望ラウンジは海を眺めるのに適している。 紀伊勝浦を出ると、くじらで有名な太たい地じや、万葉集にも詠まれた玉ノ浦の深く入り込んだ入江を見ながら南西方向に進む。本州最南端の駅串本駅到着前には、奇怪な橋はし杭ぐい岩いわが見える。 串本を出ると、大きく進行方向を変えた列車は、次第に北西に向かって走る。しばらくすると、岩を砕いてばらまいたような荒々しい男性的な海岸が続く。枯かれ木き灘なだとして知られる紀勢本線のビュースポットで、車内放送でも説明がある。見み老ろ津づから先はトンネルが続き、周す参さ見みを過ぎれば、しばらくは海と分かれて山中をさまようように走る。次に海に再会するのは、南紀最大の観光地白浜付近である。 白浜駅は温暖なリゾート温泉地らしい明るい構内で、観光客で賑わっている。温泉などに立ち寄りのんびり過ごしたい。白浜から大阪方面へは特急の本数も増え、京阪神の奥座敷といった風情だ。もうしばらく太平洋の雄大な車窓を楽しんだ後、列車は次第に都市近郊地域へと入って行く……。写真(P64〜77):レイルマンフォトオフィス、佐々倉実、野田隆、松本典久、熊博毅/Afloのだ たかし●1952年名古屋市生まれ。教員退職後「乗り鉄」派の旅行作家として雑誌や放送出演などで活躍中。All About「鉄道」ガイド。近著に『定年からの鉄道ひとり旅』(洋泉社)。海選・文 野田 隆白浜と南紀の海を進む西線65nodule 2012 July1.雄大な太平洋に沿って走る特急「くろしお」 2.落差133mという日本一の「那智の滝」 3.「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつとして世界遺産に登録される熊野那智大社 4.串本付近の海岸に並ぶ「橋杭岩」は車内からも見える 5.太平洋が間近に迫る白浜温泉の公共露天風呂「崎の湯」(400円)24351

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