ノジュール7月号
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昼間の暑さが過ぎ去り、吹き抜ける風が肌に心地良い夏の宵。笛の合図とともに一斉に竿かん燈とうが持ち上がり、黄金色の灯が大通りを埋め尽くす。東北三大祭りのひとつ、250年以上の歴史を持つ「秋田竿燈まつり」のハイライトだ。竿燈総数約250本、提灯の数は約1万個。竹を継ぎ足して伸ばした竿に、提灯を吊し形民俗文化財となっている。 竿燈に使う提灯には町内ごとに異なる町紋が描かれている。これは9代目藩主佐竹義和の手になるもので、いわば町の誇りと歴史を伝えるシンボルだ。「提灯は米俵、竿燈全体を稲穂に見立てて五穀豊穣を祈願するんです」と語るのは、市内で提灯店「提灯屋 高橋」を営む高橋晴献には、十文字に組んだ長い竿にいくつも提灯をつけ、太鼓を打ち鳴らしながら町内を練り歩くという、すでに現在の形に近い祭りの様子が描かれている。明治・大正にかけても盛んに行われ、昭和に入ると県外からの見物客も訪れるようになり、昭和6年に「秋田市竿燈会」が発足。「竿燈」の妙技を競う「妙技会」も行われるようになった。昨年は38町内と企業や学校など72の団体が参加した。国重要無た竿燈は、大人が持つ「大おお若わか」で提灯46個、重さは50㎏、高さは12mを越す。力四分、技六分と言われる絶妙なバランスで、手のひら、額、肩、腰などに次々と移し替える妙技に、祭り会場は「ドッコイショー」のかけ声に沸き、太鼓と笛のお囃子が五臓六腑に響き渡る。 竿燈は「ねぶり流し」「眠り流し」という、真夏の睡魔を追い払うお盆行事が原型とされる。寛政元年(1789)の文秋田市竿燈まつり実行委員会事務局 ☎018-866-2112竿燈大通り(主会場) ※竿燈妙技会(4~6日)は「エリアなかいち」にぎわい広場 JR秋田新幹線秋田駅から徒歩10分DATA昔の町紋を再現した伝統の提灯作り夜空を埋め尽くす黄金の稲穂秋田竿か ん と う燈まつり夜空を埋めつくす黄金の稲穂旧暦の七夕の候、1万個におよぶ提灯が揺れ、〝まるで天の川のよう〞と例えられる秋田竿燈まつり。圧巻の伝統妙技の見どころと、祭りを支える人たちの思いを伺いました。8月3〜6日 開催❖秋田県秋田市38▲祭り期間中に壊れることもある竹竿。竹竿選びは慎重に、これも差し手の仕事のひとつ竿燈の重さで弓なりにしなる竿燈を絶妙なバランスで支える。差し手のワザの見せ所だ▶1つずつ手作りで製作される竿燈用の提灯。座りっぱなしなので根気がいる作業だ

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