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いつまでも元気に旅しよう!病に勝つカラダ 第22回

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秋でも注意!熱中症対策

田中喜代次先生
(文:大政智子 イラスト:安齋 肇)

35度以上の猛暑日が続いた今夏、熱中症で倒れる人が急増しました。
少し涼しくなり、外に出て体を動かしやすくなりましたが、それでも運動時には熱中症のリスクが高まります。
今月は初秋からの熱中症対策について紹介します。

気温が20度以下でも熱中症を発症する今年の7月には都内でも最高気温が40度を超えました。これは観測史上初めてのことだそうです。猛暑日が続き熱中症のニュースが相次ぎました。

熱中症とは、高温多湿な環境に体がうまく適応できないために生じる症状のことです。気温や湿度が高い時期に頭痛、吐き気、体温の上昇、めまい、こむら返りなどの症状が起こります。手指がうまく動かせなくなることもあります。

夏に陥ると思われがちですが、秋になって涼しくなったからと油断してはいけません。運動時は熱中症のリスクが高いので、注意が必要です。今月は田中喜代次先生(筑波大学名誉教授)にお話を伺いました。

28度を超えると熱中症が急増します。環境省は28度を超えた場合は「厳重警戒」で、激しい運動を中止するよう推奨しています。ちなみに、31度以上は「危険」レベルです。

熱中症は気温や湿度などに注目が集まりがちですが、体の中に原因が潜んでいる場合もあります。とくに多いのが脱水状態に陥っているケースです。朝晩は涼しくなり、早朝のウォーキングに励む人も多いと思います。

起きてすぐのウォーキングは要注意。熱中症は20度以下とそれほど気温が高くなくても起こることがありますし、起きてすぐは血圧が高くなりがちで脳卒中など血管事故のリスクが高いからです。実は、寝ている夜間にも汗をかいているため、朝起きたときは脱水状態にあることも。起床後にコップ1〜2杯の水やスポーツドリンクを飲む習慣をつけておくと安心です。

また、下痢や二日酔いのときも要注意です。下痢のときは、水分を補給しても不足分を補えず、高い確率で脱水に陥ります。アルコールは利尿作用があり、「二日酔い=脱水状態」と留意しましょう。脱水状態に陥っていると、激しい運動をしなくても熱中症になりやすいので、体調が回復するまでは涼しいところで安静にして過ごしましょう。

また、睡眠不足のときも運動はおすすめできません。睡眠不足だと注意力が散漫になるうえ、体温コントロールがうまくできず、熱中症につながりやすいです。初秋とはいえ、運動を行う前日は十分な睡眠を心がけましょう。

運動時はこまめな水分&塩分補給水分補給のポイントは「のどが乾いた」と感じる前に飲むことです。運動前、運動中、運動後にはこまめに水分を摂りましょう。起床時や入浴前後の水分補給も忘れないように。

運動で汗をかいたときには、水分だけでなく塩分も補給しましょう。梅干しや塩を加えたレモンのはちみつ漬けは、塩分だけでなく疲労回復効果のあるクエン酸も含まれているので、運動後におすすめです。

また、運動時の水分補給にはスポーツドリンク以外にトマトジュースもおすすめです。適度な塩分が含まれていますし、抗酸化作用が強く体内の老化や酸化予防に役立つリコピンが豊富に含まれているからです。

日本茶やコーヒー、紅茶は利尿作用のあるカフェインが含まれているので、かえって水分が失われてしまいます。また、のどが乾いたときに「アルコールで水分補給」と考える人がいるようですが、前述のようにアルコールには利尿作用があるのでおすすめできません。

運動時の服装にも気をつけましょう。ゆったりして、襟元があいているものは通気性がよく、中に熱がこもらないので熱中症のリスクが軽減します。速乾性の素材で吸汗性が高いものもおすすめです。

屋外の場合は帽子をかぶったほうがいいのですが、ときどきは脱いで汗を蒸発させましょう。

基本的なことになりますが、気温や湿度が高い日は無理をして運動しないようにしましょう。また、睡眠不足や二日酔い、下痢など体調が悪いときも同様です。

熱中症は、日差しが強いときや輻射熱(温められたアスファルトやコンクリートから放射される熱)が強く、風が弱い時などに発症しやすいので、秋になって涼しくなっても、これらに当てはまる日や時間帯は注意しましょう。

また、適当に休憩をとって、がんばりすぎない、無理をしすぎないことも大切です。

たなか きよじ●筑波大学名誉教授。
1983年筑波大学大学院博士課程体育科学研究科終了後、筑波大学体育系教授を経て現職。日本健康支援学会理事長。
専門はスポーツ医学。長年、食事+運動による健康増進を研究し、35年間で5000名以上、平均8㎏の減量をサポート。
著書に『その運動、体を壊します』など。
thfweb.jp

(ノジュール2018年10月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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