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「新時代医療(ネオメディカル)」のススメ 第3回

日々進歩する予防医学。
新元号となる2019年は、“未病”対策を見直してみませんか?
新時代の健康なカラダ作りのために知っておきたい、医療業界の最新トピックスを毎号お届けします。

いま先進医療でも
注目される水素

太田成男先生
(文:大政智子 イラスト:安齋 肇)

体内でエネルギーがつくられるときには、必ず活性酸素が発生します。
活性酸素のなかには、DNAや細胞に害をもたらし、病気のきっかけになるものも。
今月は有害な活性酸素を消去する水素についての最新情報を、2月号に引き続き太田成男先生に伺います。

病気や老化をもたらす悪玉活性酸素を消去する水素水素水、水素ガスという言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。数年前から、さまざまな健康効果を謳った水素水や水素サプリメントが、複数のメーカーから販売されていました。

2016年に、国民生活センターが水素水を販売する一部の企業に対して「商品から水素が検出されない」と公表したり、消費者庁が過剰な宣伝への再発防止策を求める措置命令を出したり、国立健康・栄養研究所が水素水について「(健康な)ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない」という見解を発表したりしたため、水素水などにマイナスイメージを抱いている人もいるかもしれません。

当時、健康効果をもたらす水素濃度を満たしていない製品が販売されていたことは事実ですが、「水素」そのものが否定された訳ではありません。

現在では、むしろ医薬品としての承認を目指す試みが行われています。心停止状態の患者さんに水素を含むガスを人工呼吸器で吸引させる「水素ガス吸入療法」は、厚生労働省の先進医療として承認されています。説得力のある根拠がなければ承認されないため、大きな意味をもつといえるでしょう。

とはいえ、水素がなぜ病気や老化を予防するのかは、あまり知られていないようです。単純に言えば、水素の効果は「活性酸素を消去」することです。

活性酸素は体内を酸化(サビ)させ、DNAを傷つけて病気や老化をもたらす悪者として知られています。活性酸素によってDNAが傷つくとがんのきっかけになりますし、血管壁が酸化すると動脈硬化が進行します。病気や老化の予防は「活性酸素の害を減らすこと」にかかっていると言っても過言ではありません。

ところが、ミトコンドリアがエネルギーをつくりだすときには活性酸素が必ず発生します。ミトコンドリアが加齢とともに減少したり、機能が低下したりするのも活性酸素によるダメージが大きく関係しています。

こうしたメカニズムがわかってきて、病気や老化予防には、活性酸素を消去する作用のある抗酸化物質を摂るようにすすめられるようになりました。

抗酸化物質として知られるのは、ポリフェノール、ビタミンC、ビタミンEなどですが、水素にはこれらよりも強力な抗酸化作用があります。

通常の抗酸化物質がミトコンドリアのある細胞内に入り込むのは簡単ではありません。細胞の外側を覆う細胞膜は脂溶性なので水に溶ける物質は通過できません。一方で油に溶ける物質は、水分で満たされている細胞内には入っていけないのです。

一方で、水素は分子が非常に小さいうえ、水にも油にも溶けて細胞内に入り込みやすく、細胞内で拡散されやすいので、活性酸素を消去する力が非常に大きいことが明らかになりました。

水素の抗酸化作用は、太田先生が2007年に世界的にも有名な学術誌である『NatureMedicine』に論文を発表して以降、世界中で脚光を浴び、さらなる研究がすすめられています。

水素のすばらしいところは、救急医療にも慢性疾患にも活用され、すべての生物に対して応用できることです。

動物実験では170種類を超える病気に対する水素の効果を示す論文が発表されています。ヒトでの実験でも、「水素は心肺停止後の脳を守る」「メタボ予備軍の悪玉コレステロールが減少する」「アルツハイマー病発症後でも認知機能が改善する」といった報告が相次いでいます。

健康維持のため
手軽に始めるなら
水素水の摂取
水素の摂取は、疲労回復、脂質代謝異常、歯周病の改善など、健康な人への効果を示唆する研究報告もあり、健康維持のために水素を摂取する人も増えているようです。

水素の摂取方法は水素ガスの吸引、水素水の飲用、サプリメント、水素入浴、水素化粧品などがありますが、手軽に始めるなら水素水がおすすめです。

水素水生成器や水に溶かして水素を発生させるサプリメントなどがありますが、選ぶときにはどの程度の水素が含まれているかを確認しましょう。

水素の効果は、摂取後に体内の水素濃度がどれくらい変化するかで異なります。太田先生によると、十分に水素の効果が発揮できる水素水の濃度は0・5〜0・8ppm以上とのことなので、これを目安にしましょう。

さまざまな病気予防に役立つ水素水について、正しい知識を持ち、効果のあるものを選んで活用しましょう。

おおた しげお●日本医科大学名誉教授・順天堂大学大学院客員教授。1974年、東京大学理学部化学科卒業後、博士課程修了。
スイス連邦バーゼル大学バイオセンター研究所、自治医科大学助教授などを経て、1994年より日本医科大学教授。
日本分子状水素医学生物学会理事長。専門は分子細胞生物学、ミトコンドリア学。著書に『ここまでわかった 水素水最新Q&A』(小学館)など多数。

(ノジュール2019年3月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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