お悩み解決!旅するカラダ 第15回

物忘れ

物忘れは年齢とともに誰にとっても悩みのタネ。物忘れを自覚している人はそれほど心配することはありませんが、認知症は早期発見、早期治療が原則です。まず、その違いを知りましょう。

物忘れと認知症の違いを知る

ただの物忘れとは違う病気の徴候。自分で周囲で知ることが予防につながります。

自覚している時は大丈夫人の名前が出てこない、物忘れをするといったことがよくあり、すわ認知症ではないかと心配になって受診する人がいます。20代や30代も例外ではありません。確かに、65歳未満で発症する若年性認知症の患者さんはいますが、本格的に増えるのはやはり70歳を超えてからになります。

自分自身で自覚して受診する人が認知症である可能性はきわめて低いのが現状です。

中高年になれば、誰でも大なり小なりの物忘れは起こります。たとえ、20代であってもストレスや過労、睡眠不足などによって似たような症状が現れてもおかしくありません。うつが潜んでいることもあります。若い人の場合、それらがおさまれば症状も解消されるでしょう。

これまでの例で言えば、患者さん当人の様子がおかしいと感じた家族が連れてくる場合のほうが、認知症である可能性は高いといえます。

「おつりの計算ができない。それで紙幣で払うことが多くなり、財布が小銭でいっぱいになっている」「料理の献立がいつも同じ」「複数の種類の薬を飲んでいる場合、きちんと飲めなくなる」「道に迷う」…

さらには、「約束の時間を忘れる」のではなく、「約束したこと自体を忘れる」などのような症状が現れたら、一度、専門医を訪ねてください。

この免疫細胞は貪食細胞ともいわれ、酸化した悪玉コレステロールを食べますが、満腹になった免疫細胞はその場で役割を終えて死んでしまいます。この死骸の集まりがプラークです。

簡単なテストでまず確認MMSE、HDS -R(ミニメンタルテスト、長谷川式テスト)と呼ばれる問診による認知機能検査をはじめとして、脳の萎縮をみるMRI検査、他の全身疾患による場合を調べるための血液検査、脳の中で記憶を司る海馬の血流をみるSPECT/PET検査などを行ないます。

軽度認知障害(MCI)と呼ばれる段階の人が、必ずしも認知症へと移行するわけではありません。

自宅で簡単にできるテストとしては、100から7を引いて、そこから7を引き、それを続けていくという方法があります。また、「猫」や「桜」「電車」などの簡単な単語を5つくらい覚えてもらい、少し間を置いてから、覚えた単語を思い出してもらう方法も一般的です。うまく答えられなかったら、やはり医療機関を受診したほうがいいでしょう。

医療機関での検査は毎年のように受ける必要はありませんが、不安な人は、検査を受けてください。異常がなければ、5年に1度くらいの割合で十分です。認知症の検査がメニューに入っている人間ドックもあります。

人とのかかわりが最良の予防法

物忘れは改善可能。バランスのとれた食事や運動、ストレスの解消、禁煙など生活習慣の改善が効果的です。

発症のきっかけは生活の変化物忘れのメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、定年退職して生活が変わったり、配偶者との別れなど、家族の中で大きなイベントが起こったりするのをきっかけにして、認知症が悪化することも少なくありません。

人とのコミュニケーションの量が大きく関与しているのではないかと考えられています。よって、老人のひとり暮らしや何日も人と会話をしないなどの生活はできるだけ避けなければなりません。

認知症には脳血管性やアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症(DLB)があり、脳血管性は脳の血管の動脈硬化が原因、後者はアミロイドβたんぱくという物質が蓄積します。レビー小体型はレビー小体という特殊な細胞内封入体が中枢神経系を中心にみとめられ、脳細胞が萎縮することが原因です。

『運動と計算』で予防

マナーだけでなく、血圧の急上昇を避けるためにもかかり湯を

糖尿病の人はアルツハイマー型になりやすいという報告もありますから、脳血管性認知症とともに生活習慣の改善が予防につながります。中でも、1日30分は少し速足で歩くようにしてください。運動と計算を同時に行なう脳トレが有効だといわれていますし、日記をつけたり、新聞を書き写したりする方法もあります。

脳の血流を改善する青背魚の脂であるEPA/DHAもいいでしょう。医師が処方する医薬品もあります。

(ノジュール2014年1月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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