お悩み解決!旅するカラダ 第18回
健康に旅を楽しむために、大切にしたい目。目が悪くなると、楽しみも生活の質も低下してしまいます。ノジュール読者世代が気をつけるべき目のケアについて解説します。
目の異常、早めの察知を
齢を重ねると目の病気になる人は増えていきます。治療をしても根治できない病気も珍しくありません。そのためには、早く気がつくことが重要です。
自覚症状はどう現れる?早期に発見するにはどのような症状が現れるかを知らなければなりません。
眼球の水晶体はカメラで例えるとレンズの働きをしています。もともと透明である水晶体が白濁、変色する病気が白内障です。白内障になると、白くかすんで見える、暗い場所では見えにくくなる、まぶしく感じる、視力が低下するなどといった症状が出ます。
緑内障は視神経が傷害され、視野が欠ける病気で、かなり進行しないと自覚症状は現れません。また、片方の目の視野が狭くなっていても、もう一方の目が補っていると、気がつきません。
糖尿病はさまざまな合併症を伴うため、怖い病気とされています。合併症のひとつが糖尿病網膜症です。糖尿病によって高血糖の状態が長く続くと、網膜の血管が弱くなって、出血やむくみが出てきます。進行すると、目の中の硝子体に出血し、網膜剥離を起こすなどして視力が低下し、ついには失明にまで至ります。進行するまで自覚症状はありません。
最近日本でも増えているのが加齢黄班変性です。網膜の中心である黄班に老廃物が蓄積して起こります。典型的な症状として、周辺部は正常に見えるにもかかわらず、視野の中心部が歪んだり、暗くなったりするのはそのためです。
喫煙している人はしていない人に比べて加齢黄斑変性になる危険性が高くなります。また、ビタミンC、ビタミンE、ルテイン、亜鉛などを含んだサプリメントを飲むと加齢黄斑変性の発症が少なくなることが分かっています。
定期的に検査を受けましょうこれら4つの病気は加齢とともに患者さんも増えていきますから、自覚症状が現れたら、眼科で検査を受けてください。自覚症状がないこともありますので、中高年になれば定期的に検査を受けたほうがいいでしょう。
白内障に対しては視力検査や細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査、緑内障は眼底検査や眼圧検査、視野検査、糖尿病網膜症は眼底検査、加齢黄班変性は眼底検査や網膜の断面を見るOCT(光干渉断層計)検査などを行ないます。どれも患者さんにとって苦痛はなく、簡単にできるものばかりです。
これら4つの病気の中で白内障は手術で治せますが、その他の病気は、進行や悪化を遅らせる治療法しかありません。そのため、早期発見、早期治療が何より重要なのです。
旅先でもお忘れなく。花粉症対策
今年も花粉シーズン真っ只中となりました…。花粉症によって目にダメージを与えないよう、目の症状に絞って対策を紹介します。
基本はこすらず、洗い流す目の粘膜にある肥満細胞に花粉が付着すると、ヒスタミンなどの物質が放出されます。ヒスタミンが神経や血管を刺激すると目のかゆみ、充血、涙が出るといった症状が現れるのです。
花粉により結膜に炎症が起こることから、花粉症は季節性アレルギー性結膜炎とも呼ばれています。
治療は抗アレルギー剤の点眼薬や内服薬が中心です。スギやヒノキ、シラカバなどは春(3〜6月)、ブタクサやヨモギなどは夏から秋(8〜9月)と、花粉の飛散時期は植物の種類や地方によって異なります。本格飛散の約2週間前ごろから薬を始める初期治療も症状を抑えるのに有効です。
目がかゆくても、こすらないようにしてください。人工涙液などで、目についた花粉を流すのもいいでしょう。防腐剤の入っていないものなら、特に使用制限などの注意点はありません。防腐剤無配合やフリーなどの表記があるはずです。水道水などで洗うのは目を傷つける恐れがあるのでやめてください。
屋外では花粉に接触しないように帽子やメガネ、マスクなどを着けると効果的なのはご存知の通り。コートを着るときは、花粉が付きにくいナイロンやビニールなど、ツルツルした素材を選ぶことがポイントです。宿では自宅と同様に、服や頭に付いた花粉を払い落としてから部屋に入ります。洗顔やうがいはいうまでもありません。
花粉シーズンが過ぎると忘れてしまいがちですが、年間を通して旅を楽しみたい人は、旅行先に花粉が飛散しているかどうかを調べて、事前に眼科や耳鼻科などの専門のクリニックを受診しておいてもいいでしょう。