お悩み解決!旅するカラダ 第22回
〝万能〞と思われがちな現代医療にも
治せる病気と治せない病気があることを知る必要があります。
医療も患者が選択する時代になったのです。
〝薬が万能〞というのは大きな間違い
持参する薬の種類と量は、旅行先や日程、自身の持病などを考慮して決めてください。万が一のときのために、現地で調達する方法も事前に調べておくといいでしょう。
抗生物質の効果はいかにその昔、結核は「死の病」でした。ところが、抗生物質が使用されるようになり、死亡率は大幅に低下したといわれています。この事実は、私たちの健康に対する現代医療の貢献度の大きさを示す例としてよく語られてきましたが、実は、抗生物質が使用される前から死亡率は低下していたのです。下水道の整備や石鹸の普及など、衛生面が改善され、さらには栄養状態が良好になり、もともと持っていた抵抗力を向上させました。むしろこれらが一番の原因だといえます。確かに、平均寿命も著しく伸びてきましたが、その原因も同じです。
私たちは無条件に現代医療を信じています。それでも、ガンをはじめとして糖尿病やリウマチなど、根治が難しい病気も少なくありません。現代医療は決して万能ではないようです。
薬が治癒を遅らせることも風邪をひいて熱が出たら、多くの方は、市販の解熱剤を飲むか、お医者さんへ行って同じく解熱剤を処方してもらうか、そのいずれかの方法をとることがほとんどでしょう。高熱があり、熱性のけいれんが見られれば、もちろん、解熱しなければなりません。ただし、発熱はウイルスなどへの防御反応のひとつなので、少々の熱を薬で下げることはかえって治癒を遅らせてしまうこともあります。
これは風邪に限ったことではありません。高血圧や糖尿病など多くの病気の治療でも〝余計なこと〞が行われる可能性があります。薬は人工合成された化学物質です。これらが体内に入ると、体はうまく処理、対応できません。
あまりの痒(かゆ)さに血が出ているようなアトピーの患者さんは、ひどい炎症を抑えるステロイド剤を服用することがあります。しかし、長期にわたって使用すると、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や高血圧、うつなどの副作用が現れますから、使い方には注意が必要です(ステロイド軟膏の場合はまずそういう心配はありません)。
さまざまな医薬品が使用され、新しい検査や手術も行われています。しかし、毎年、アメリカでは約10万人、イギリスでは約4万人もの人が医療ミスで亡くなっているという報告もあります。私たちが受けられる医療は現代医療だけではありません。今一度、自由に医療を選択してみてください。
サプリメント利用の注意点
サプリメントの効果や必要性に疑問の余地はありません。
いかにうまく利用するかという時代になったのです。
決め手は成分の含有量と摂取量になります。
治療の際は医師と相談を現代医療でなければ治せない病気は、たとえば、網膜はく離、大動脈破裂、腸捻転(ちょうねんてん)など、たくさんあります。しかし、内科や精神科の治療においては、効果の曖昧なものが結構あるようです。私の長年の経験からすると、内科で診察する病気の8割は、ビタミンやミネラル、ハーブ、そして、ドロドロ血を抜き出す瀉血(しゃけつ)によって安全に治せるといってもいいでしょう。ビタミンの摂取は本来なら食物から摂るのがもちろん良いのですが、実生活ではサプリメントに頼らざるをえないところがあります。
市販のサプリメントを購入する際、価格は決め手になりません。海外のサプリメントは比較的安く、国内製でも大量生産することで低価格を実現しているところもあり、安いからといって必ずしも粗悪品とはかぎりません。成分の含有量と価格を比較して検討するといいでしょう。
摂取量の目安は厚生労働省が発表していますが、この範囲内では、かなり効果が薄いことも否定できません。ビタミンCは水溶性ビタミンなので、余分に摂ったとしても尿から排出されて、安全といわれてきました。ビタミンCの大量点滴療法がアトピーによく効くことも事実です。ただし、続けるうちに症状が悪化することもあり、ときには腎結石(じんけっせき)になることもありえます。人間とチンパンジーは体内でビタミンCを作ることはできません。知能の発達のためには不必要だったのかもしれません。
このように、サプリメントにはまだまだ不明の部分もありますから、勝手な判断で大量に使用することは控えてください。病気の治療に用いる場合は、やはり医師と相談し、医師から処方してもらったほうがいいでしょう。