お悩み解決!旅するカラダ 第23回

サプリメント 【後編】

牧瀬忠廣先生
(文:湯浅真弥 イラスト:安齋 肇)

サプリメントを使った治療を専門としている牧瀬クリニック。
中でも、牧瀬院長がその有効性を認めている代表的なサプリメントを紹介します。

代表的なサプリメント

【月桃(げっとう)】月桃は熱帯や亜熱帯に生育する多年性の植物です。これらの地域に注ぐ強い紫外線から自らを守るために、活性酸素を消去させる抗酸化物質のポリフェノールやカロテノイドを豊富に含んでいます。また、解毒の働きをする肝臓や腎臓の働きを高めることから、体に蓄積した有害物質を体外へ排出する作用も見逃せません。

【プロテオグリカン】タンパク質のプロテインを表す「プロテオ」と多糖類であるグリカンを複合したもの。ヒアルロン酸やコラーゲンなどを増やす働きがあり、関節の痛みなどに強く作用します。ヒアルロン酸は卵巣機能と密接に関係しており、ヒアルロン酸がプロテオグリカンによって増えることで、更年期障害の改善にも役立つのです。

【ラクトフェリン】母乳の中にごくわずかに含まれる赤い色をしたタンパク質です。世には多くのラクトフェリンのサプリメントがありますが、肝心なことは、ラクトフェリンが胃や十二指腸で分解されず、小腸まで無事に届くかどうかということです。その問題を解決しているラクトフェリンのサプリメントは、腸溶性のラクトフェリンだけです。

【アシタバ】日本原産のセリ科の植物。脂肪酸の燃焼や糖の取り込み作用を持つタンパク質であるアディポネクチンを増やします。肥満を減らしてくれるので、メタボリックシンドローム対策には非常に重要です。

【体によい油】まず、α-リノレン酸を含むフラックスシードオイルです。抗炎症や血管拡張、血小板凝集抑制、免疫力増強、がん抑制、アレルギー症状寛解などの作用があります。

血液をサラサラにしたり食欲を抑えたりしてくれるのが松の葉オイルです。ツバキオイルは主成分のオレイン酸に悪玉コレステロール値や血圧を下げる働きがあります。

サプリメントが有効な症例

薬や手術などがためらわれる病気に対してサプリメントは有効な場合も。
症例の多い更年期障害と前立腺肥大症にについて解説します。

医薬品や手術の代替療法として更年期障害と診断されると、多くの婦人科ではホルモン補充療法をすすめられます。その際、一般的に日本で処方されるのは医薬品であり、多くは馬の尿から抽出したエストロゲンを主体とするホルモンです。ヒトのエストロゲンと性質が似ていることもあり、それなりの効果を示します。しかし、ヒトは馬のエストロゲンを十分には代謝できないため、体内に蓄積されると、頭痛や不眠、うつ、高血圧などの副作用となって現れたりする可能性は否定できません。

そこで、牧瀬クリニックでは、以前から月桃を処方してきました。ホルモンの量が少なければ増やし、多すぎれば減らすといった調整作用があるからです。その他、ヒト胎盤エキスも更年期障害に効果が認められます。

前立腺肥大症になると、排尿困難や夜間頻尿、残尿感などの症状が起こり、加齢とともに悪化していくことから、悩んでいる中高年の男性も少なくありません。前立腺を肥大させる物質がDHTです。

手術をすすめられる泌尿器科の先生方もおられますが、その結果、ED(勃起障害)や尿漏れの危険性がなきにしもあらずといえますので、サプリメントの利用を考慮されたほうが良い場合があります。

最も有名なのがノコギリヤシですが、問題は、品質の高いノコギリヤシのサプリメントを見つけるのが簡単ではないということです。

亜鉛はDHTの働きを抑制してくれますし、ビタミンB6はテストステロンがDHTに変換されるのを防ぎます。ただし、亜鉛の長期使用は控えなければなりません。

いずれにしても、サプリメントによる症状の改善をお考えの方は、統合医療に理解のあるドクターに相談されるといいでしょう。

(ノジュール2015年9月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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