お悩み解決!旅するカラダ 第17回
歯周病を防ぐ
口の中を不潔にしていると歯周病菌が繁殖し、様々な病気を引き起こします。
歯周病が悪化して歯を失えば、食事を楽しむこともできません。正しい歯磨きを身につけて口腔ケアに努めましょう。
口の中の雑菌が病気を招く
歯周病菌をシャットアウト!中高年の約8割が程度の差こそあれ、歯周病を抱えているといわれています。歯を磨いたときに出血があれば、歯周病が相当進行している可能性が高いといえるでしょう。出血がなくても安心できません。歯科医が患者さんの歯を正しく磨くと、大量の出血がみられることも珍しくありません。
歯周病は、口の中を不潔にしておくと繁殖する歯周病菌によって起こる歯の周辺の炎症です。歯を失うとしっかりと咀嚼できなくなるので、胃腸に負担がかかり 消化吸収がうまく行なわれません。また、高齢になると嚥下(飲み込む)反射が低下してくるので歯周病菌が気管へ流れ込み誤嚥性肺炎を起こします。ICU(集中治療室)の患者さんも同じ状態になるので、口腔ケアがとても大切になります。
動脈硬化もウイルスや細菌感染によって起こることが世界で発表されていますが、歯周病原菌もその一つです。歯周病のある人ほど、動脈硬化による心臓疾患が多くなることもわかっています。
失った歯の数が0〜4本の人たちと15〜28本の人たちを比較すると、死亡率は1・8倍になり、歯磨きを1日に1回しかしない人の口腔がんや食道がんになる危険性は、2回歯磨きをする人より3割も高いという報告があるほどです。
おいしい食事や充実した食生活は心を豊かにしますし、高齢者にとっては生きがいになります。健康寿命を伸ばすためにも、口の中を清潔に保つ口腔ケアに気を配ってください。
清潔の基本は、徹底した歯磨き
歯のすべての面を磨く正しい歯磨き、よく噛んで食べること、禁煙が基本になります。
ほとんどの人が上手に歯磨きできずに磨き残しがあるままです。いろいろな方向から歯にブラシを当てて汚れを落とします。歯と歯の間の根元部分に付く汚れを取る歯間ブラシや、歯と歯が接する部分を掃除するデンタルフロス(糸ようじ)も使って、磨き残しのないようにしてください。
それでも一度は歯科医から正しい歯の磨き方の指導を受けたほうがいいでしょう。50歳を過ぎれば、3ヵ月に1度くらいは虫歯や噛み合わせのチェックをして、歯石が付いているときは除去してもらうことをおすすめします。すでに歯に問題を抱えている人は、できれば月に1度は通院してください。
歯磨き粉を使わなくてもOK市販されているほとんどの歯磨き粉は、泡立ちを良くするための発泡剤や研磨剤が含まれています。界面活性剤が入っているキッチン洗剤を使うと手が荒れるように、これら石油系の薬品は口腔粘膜や舌をおかします。
まずは歯磨き粉なしでしっかりと磨くことです。それだけでも十分きれいになります。
もし使う場合は、天然成分が配合された歯磨き粉ならば安心です。藍やプロポリスを主成分とする歯磨き粉なども販売されています。
歯茎がしまるといわれている塩で歯磨きをしている人や、口の中の汚れやネバネバを洗い流すと宣伝している洗口液でうがいをしている人もいますが、これでプラーク(歯垢)が簡単にとれると過剰に期待しすぎてはいけません。
最近の超音波ブラシや電動歯ブラシは良い面もありますが、あまり頼りすぎてはいけません。汚れを残さず、歯全体をくまなく磨くには、やはり自分の手で磨くのが基本です。
(ノジュール2014年3月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)