お悩み解決!旅するカラダ 第19回
せっかく楽しみにしていた旅行も体を壊しては台無し。
旅行シーズンを前にノジュール読者世代が気をつけなればならないことを2回に分けて解説します。まずは移動編から。
無理なくリラックスが基本
中高年になれば、大きな荷物を背負ったバックパッカーのような旅行はできません。過密な日程を避けて、時差による寝不足にも注意が必要です。
重い荷物はもたず身軽に中高年が海外へ行く場合、まず身軽でなければなりません。多くの荷物をもって移動することはできるだけしないようにします。それは自宅から空港までの間も同じです。
例えば、神奈川県に住んでいる人にとって、成田空港から出発することになると、自宅から空港までがちょっとした「旅行」になりかねません。まだ出国もしていないのに多くの荷物を抱えているだけで疲れてしまうのです。
心臓発作などで心停止に陥った人を救助するときに用いられるAEDは、まず空港と飛行機に用意されました。それほど空港で体調を崩す人は多いのです。
現在では空港まで荷物を運んでくれる宅配サービスがあります。
帰りも、空港から自宅までこのサービスを使うといいでしょう。帰りはどうしても土産物が多くなります。義理であげるようなときは、帰国してから国内で買ってもかまいません。
日本と旅行先の気候が異なることもあります。冬に南国へ行く場合は、コートなどを空港に預けておくことです。
日程には余裕をもってツアーの選び方にも気を配ります。若者向けのツアーは、一般的に低価格ですが、それだけ日程も過密です。毎日のように違う国や都市を移動するツアーは中高年には向いていません。
旅先によっては時差が大きいこともあります。飛行機の中でほとんど眠れず、現地へ着くとそのまますぐにツアーが始まるということも珍しくありません。そのようなときは決して無理をせず、いったんホテルへ行って仮眠をすることです。
寝不足では旅を楽しめません。飛行機はいうまでもなく、現地におけるバスの移動中など、いつでも眠れるように、アイマスクや耳栓を持参すると便利です。たとえ15分くらいのうたた寝でも寝不足解消の効果はあります。特に時差が大きい時は、無理に現地の時間に合わせず、ときどき仮眠をとりましょう。旅行中に寝不足にならないように、出かける直前に寝だめするという手もあります。
海外旅行は一生に一度という時代は終わりました。いつでもまた行けます。一度ですべてを見ようとせず、次の機会に訪れればいいのです。
また、できればダイレクトに目的地へ到着する便を選ぶようにして、料金が安いからといって、無理な乗り換えのある便は避けてください。
あくまでもリフレッシュをするために旅行へ行くわけですから、体への無理は禁物です。
長時間フライトでの注意点
日本と海外では環境が大きく異なります。そしてそれは飛行機内ですでに始まっているのです。
機内における環境の変化にうまく対応しましょう。
機内の環境に合わせた対応を飛行機の中は温度調節されているとはいえ、寒く感じることがあります。肌の露出の多い服装は感心しません。夏でも長袖をおすすめします。
機内は乾燥していますから、鼻や喉の弱い人はマスクを持参してください。
高性能の換気装置により細菌やウイルスはほとんど除去されており、空気から感染する心配はほとんどありません。それでも座席やトイレなどに付着した細菌やウイルスに触れる可能性がありますので、食前の手洗いだけは欠かしてはいけません。
長時間にわたって座ったままでいると、足の血流が滞り血栓ができやすくなります。それが血管を通じて肺へ届いて起こるのが、いわゆる旅行者血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)です。
最悪の場合、命にかかわりますから、ときどきふくらはぎのマッサージをしたり、かかとの上げ下げや席から立ち上がったりして予防に努めます。
気圧の変化も問題です。通常、胃や腸の中には1〜2リットルのガスがありますが、気圧が低くなるとさらに30パーセントほど膨張します。
体を締めつけるような服装は控えて、できるだけゆったりした格好を心がけましょう。
また、食べ過ぎると余計に膨らみますから、食事はほどほどにし、炭酸系の飲み物も控えなければなりません。
特に、気圧の変化は離陸後の15分と着陸前の15分に起こりますので、耳が痛くならないように鼻をつまみ唾をのみこんだりしてください。
巡航中の機内は、地上に比べると20%くらい低酸素となります。だいたい富士山の五合目くらいと考えてください。そのような環境でお酒をたくさん飲むと低酸素がさらにひどくなります。お酒を飲んで飛行中は寝ていこうという方がいますが、大変危険な行為なのです。くれぐれも飲みすぎには注意してください。