老後に備えるあんしんマネー学 第61回
さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。
介護を受けている人が使える
控除があることをご存知ですか
親御さんが介護認定を受けているご家庭もあるのではないでしょうか。介護認定を受けている場合、「障害者控除」が適用される可能性がありますが、きちんと申告されていますか。ほかにも、ご主人と死別や離別をされた場合、寡婦控除を申告していますでしょうか。そこで今月は、介護を受けている人と、死別や離別を経験された人が使える控除を中心にご紹介します。
介護認定の場合は障害者控除
対象者認定証の取得をまずは障害者控除を説明します。障害者控除は、65歳以上で主に介護認定を受けている人が利用できる控除です。障害者手帳を取得していなければ、障害者控除は使えないと思う人も少なくないようですが、障害者手帳を取得していなくても、お住まいの自治体から障害者控除対象者認定証を取得できれば控除が使えます。
ただし、介護度が1~3の方の場合、認定証の基準に合致しているのかを自治体が審査するので、100%取得できるとは限らないことに注意が必要です。ちなみに、障害者手帳を取得している人は、認定証がなくても障害者控除が受けられます。
障害者控除の金額は、27万円。障害の程度が重い特別障害者と認定された場合は、障害者控除の金額が40万円になります。
障害者控除は介護を受けている本人が申告すると、所得税、住民税が安くなるだけではなく、国民健康保険料や公的介護保険料も抑えられます。
介護者本人が非課税者なら扶養している人が控除の申請を介護を受けている人が非課税者であるなど、障害者控除を使っても減税のメリットを受けられない場合は、介護認定を受けている人を扶養している人が扶養控除の申告をするとよいでしょう。介護認定を受けているのが親の場合、通常の扶養控除に加えて、障害者控除が受けられるので、控除額を増やせます。
例えば、扶養している同居の親が70歳以上の場合、扶養控除の金額は58万円になります。これに障害者控除の27万円を足すと、控除額を85万円に増やせます。別居の70歳以上の親を扶養している場合、扶養控除額は48万円ですので、障害者控除を足すと控除額は合計75万円になります。親の年齢が69歳までの場合、同居、別居にかかわらず、扶養控除額は38万円です。
はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載をもつほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店)など著書多数。