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霧降滝や中禅寺湖の秋色に親しむ!
滝、紅葉の絶景に心打たれ、錦秋の日光で珠玉の洋食を【栃木県】
紅葉で彩られた日光は、都内から約2時間でアクセスできる別天地。
市街地を拠点に、日光連山の峰々に抱かれた奥日光へも足を延ばします。
日光の山の恵みをいただくローカル・ガストロノミーの旅へ。
由緒正しき皇室文化にふれ
歴史ある通りを散策栃木県日光市は、奥日光とよばれる中禅寺湖周辺で約1200〜1300m、日光市街地で約500〜600mと地域により大きな標高差があり、気候も異なる。そのため紅葉前線は奥日光から始まり、山々を彩りながらゆっくりと市街地へと下りてくる。秋の深まる日光を訪ね、紅葉の名所と美食を巡る小さな旅を楽しんだ。
日光田母沢御用邸記念公園は、大正天皇の静養地として造営され、3代にわたり愛されたかつての御用邸。明治時代の銀行家・小林年保の別邸跡に、赤坂離宮にあった旧紀州徳川家江戸中屋敷の一部を移築し、増改築を経て現在の姿となった。合計106の部屋と、13の中坪(中庭)をもつ壮大な建築群で、江戸後期・明治・大正と各時代の建築様式が混在する。学問の象徴とされる梅の装飾をちりばめた御学問所、公式儀礼が行われた書院造りの謁見所など、建物内部の半分以上を一般に公開し、皇室文化を現代に伝えている。さらに紅葉の見頃に合わせた10月15日から11月17日には、旧紀州徳川家江戸中屋敷の2階にある御日拝所〈ごにっぱいじょ〉が特別公開される。窓の外には一面朱色に染まった庭園が広がり、この季節にしか見られない美景を堪能することができる。
絢爛な皇室文化にふれた後は、日光田母沢御用邸記念公園の正門東側にのびる御用邸通りへ。日光銘菓の老舗や古民家が点在する通りを歩き、商家造り建築をリノベーションしたカフェを訪ねる。日光珈琲御用邸通は、自家焙煎のスペシャルティコーヒーを提供する隠れ家的な店。太い梁や柱をそのまま生かした木造建築で、大正時代は米や麦を商った〝よろづ屋〞だったという。店内の壁には、品物の名が記されているなど当時の名残を留めている。1杯ずつ丁寧にいれるハンドドリップコーヒーは、5種類のオリジナルブレンドや産地の異なるシングルオリジンなど多彩に揃う。コーヒーのおいしさを引き立てる自家製ケーキやかき氷とともに、優雅なカフェタイムを過ごそう。
中禅寺湖の畔で楽しむ
日光ガストロノミーいろは坂より西側は奥日光とよばれ、優美な円錐形の山容を誇る男体山〈なんたいさん〉や、その南西麓にある中禅寺湖など、雄大な景色が広がる。
ダイニングルーム「みずなら」は中禅寺金谷ホテルの一角にある。周辺はミズナラの木立に囲まれ、10月下旬から11月上旬にかけて鮮やかな黄色に色づくという。この季節ならではの日光の美食を味わうなら、秋限定のランチコースを選択したい。日光で養殖するプレミアムヤシオマスを低温加熱したミキュイに、香り高い日光産マイタケのキッシュ、日光山椒のソースでいただく栃木県のブランド豚……。山里の食材が織り成す贅沢な秋の味覚を存分に堪能した。
中禅寺湖畔は明治時代中期から昭和初期にかけ、外国人別荘が建設された国際避暑地だったという。イタリア大使館別荘記念公園は、昭和3年(1928)に建てられたイタリア大使館の別荘。チェコ出身の建築家のアントニン・レーモンドが設計したもので、建物はもちろん建具や家具に至るまで、往時の姿が忠実に再現されている。壁や天井に張り巡らされた杉皮は、市松模様や六角形などさまざまなパターンがあり、近代的なデザインも興味深い。湖に面した広縁で、湖の美景を満喫しよう。
夜は割烹二葉で日光の名物料理に舌鼓を。築約100年の料亭建築の中でいただくのは、ゆば尽くしの懐石料理だ。日本料理に西洋料理の技法を融合させたスタイルは、幅広い年代が楽しめるようにと、お客さんのリクエストを取り入れつつできあがったもの。フレンチ出身の店主・森田秀夫さんの人柄を表したような優しい味わいに、ほっと心が和む。