老後に備えるあんしんマネー学 第24回
さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。
さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。
「老後資金2000万円不足問題が記憶に新しいところですが、日本人の多くが平均で2000万円以上の貯蓄を持っているのでしょうか。気になるところではありませんか。そこで今月は、60代と70代以上の世帯の平均貯蓄額など、老後の暮らしにまつわるデータをいくつかご紹介します。
60代の平均貯蓄額は
2537万円!まずは令和3年版の家計調査から、平均貯蓄額をご紹介します。図のように、全年齢の平均貯蓄額は「1880万円」になっています。これはこの20年間で、最も高額な結果になっているとのことです。
次に、ノジュール読者が気になる60代と70代以上の世帯の平均貯蓄額を見ていきましょう。60代の平均貯蓄額は、全年齢の中でもっとも多く、平均で60代の平均貯蓄額は2537万円!「2537万円」になっています。70代以上では少し減って、「2318万円」が平均貯蓄額になります。
60代、70代以上の世帯とも2000万円を超える平均貯蓄額を保有している現実をみると、「老後2000万円不足問題」についても、現実に即した金額に感じられるように思います。
平均貯蓄額が2537万円と聞いて、皆さんは「意外に、どの家庭も資産を持っているんだな」と思われたでしょうか。それとも、「ウチの資産のほうが多いから、ひとまず安心」と感じられたでしょうか。
毎年どのくらい減っているかを
管理することが大切平均貯蓄額の調査で、注目して欲しいことがあります。それは60代よりも、70代以上の世帯の平均貯蓄額が減っていること。年金暮らしでは、年間収支毎年どのくらい減っているかを管理することが大切が赤字になるのは自然な流れでもありますが、家計相談を受けているなかで気になるのは、「貯蓄が減るペース」を気にかける方が少ない現実です。年金暮らしでは「いくらの貯蓄があるか」も重要ですが、「毎年、いくらずつ減っているか」を正確につかむことも重要です。貯蓄の減り方をきちんと管理しないと、寿命を迎えるまでに貯蓄が底を突いてしまったり、お葬式代を残してあげられない可能性があるからです。
もうひとつ、調査を見る際に知っておきたいのは、平均貯蓄額のまわりに多くの世帯が集まっているわけではない現実。たとえば全年齢の調査では、平均貯蓄額は1880万円になっているものの、平均貯蓄額を下回る世帯が、全体の3分の2以上存在します。さらに、貯蓄額が100万円に満たない世帯が1割以上いるのです。「貯蓄がない」と答えた世帯を含めると、平均貯蓄額は1026万円まで下がります。
その一方で、貯蓄が4000万円以上あると答えた世帯は、8世帯に1世帯ほど存在します。貯蓄が3000万円以上4000万円未満あると答えた世帯と併せますと、5世帯に1世帯が3000万円以上の貯蓄を有しています。このような状況を整理しますと、平均貯蓄額のまわりに多くの世帯の貯蓄額があるのではなく、平均貯蓄額が多い世帯と少ない世帯が引っ張り合って、平均貯蓄額が算出されたと捉えたほうが現実的なように感じます。
はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』(ぱる出版)など著書多数。