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旬のスイーツと展望列車を満喫!
会津の鉄道旅
文=柳澤美樹子 写真=楠聖子
神が降臨する山とされ、会津のシンボルである磐梯山。
その山に見守られるように磐越西線を走るフルーティアふくしま。
特産のフルーツのスイーツで優雅なティータイムが過ごせます。
翌日は会津鉄道のお座トロ展望列車に乗車して、緑あふれる会津の列車旅を楽しみました。
フルーティアふくしまで
果物と景色を心ゆくまで気温が上がってくると、フルーツがおいしくなる。そんなタイミングで、磐越西線〈ばんえつさいせん〉の郡山〈こおりやま〉から喜多方〈きたかた〉までを“走るカフェ”といわれるフルーティアふくしまに乗りに来た。
まずは、郡山駅のホームに入線していた、赤とグレーを基調とした車両やシンボルマークと記念撮影。期待感が高まる瞬間だ。
2両編成だが座席は2号車のみ。車窓風景が見やすいように角度をつけた白いソファのボックスシートは、4人掛け、2人掛け、それに1人掛けの窓に向かったシートと、いろいろなグループに対応できるようになっている。発車すると間もなく、毎月地元人気店が工夫を凝らしているというスイーツセットが運ばれてくる。乗車した4月はイチゴがメインだったが、ほかの月も乗ってみたくなる。コーヒー、紅茶はフリードリンク。冷たいドリンクは1号車のカフェカウンターで飲めるというので行ってみた。窓に向かったハイチェアの席もあり、気分を変えてこちらでひと時を過ごすのもいい。
やがて右の車窓に、会津を象徴する磐梯山〈ばんだいさん〉が見えてくる。ところが会津若松駅で進行方向が逆になると、今度は左側に見えるというマジックも!最高の演出だ。フルーティアふくしまは、今年の12月でラストランになるという。貴重な思い出ができた。
終着駅の喜多方は、味噌や酒の保存、漆器業などに使われた蔵が残る蔵の町。それが知られるようになったのは、壊されていく蔵造りの建物を惜しんで撮影した写真家の活動がきっかけだったのだという。また、喜多方はラーメン店が100店舗以上あるというラーメンの町でもある。平打ちちぢれ麺に醤油味のスープが特徴のラーメンをズズッと完食してから、藩政時代に漆職人が集められたという菅原神社の門前エリアに行ってみた。
ひと際大きな蔵の北見八郎平商店では、「家族が使いやすい」ことを考えてデザインした漆器を、伝統の会津塗りの技術で製造・販売している。つまみやすい箸、洋食にも使える平皿など毎日使えるみやげが選べた。
斜向かいのアイヅピーナツソフトという文字に惹かれて濃厚落花生ソフトを味わい、喜多方駅に戻った。
喜多方駅からは会津鉄道に乗って天然記念物の塔のへつりまで足を延ばしてみた。吊り橋の対岸に見えるのは、大地を100万年かけて川の流れが削り取って造り上げた地形の妙。天地左右、スマートフォンカメラのパノラマ機能でも収まりきらないスケールなので、しっかり記憶に留めておくことにする。紅葉の名所でもあるそうなので、秋景色も見てみたいものだ。