老後に備えるあんしんマネー学 第33回
さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。
世の中には、目的に合わせたさまざまな補助金が存在しています。そのようななかから、今回取り上げるのは、省エネ設備を導入したときにもらえる補助金です。まずは、今年の3月に交付の申請がスタートした新しい制度をご紹介しましょう。
断熱性能の高い窓の設置で
最高200万円の支給も国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体でゼロ(プラスとマイナスで実質ゼロ)にする目標を掲げています。温室効果ガスを削減するために、今年は経済産業省、国土交通省、環境省の3つの省が連携して「住宅省エネ2023キャンペーン」をスタートさせました。
このキャンペーンは、「こどもエコすまい支援事業」「先進的窓リノベ事業」「給湯省エネ事業」の3つの事業から成り立っています。「こどもエコすまい支援事業」には年齢条件が設けられているので、今回は「先進的窓リノベ事業」と「給湯省エネ事業」の2つをご紹介します。
「先進的窓リノベ事業」とは、断熱性能の高いガラスへの交換、外窓交換、内窓の設置など、省エネを目的とした窓の改修を行った場合に補助金が対象になる制度です。
補助金額は、工事の内容や交換する商品の性能とサイズなどで異なりますが、ガラス交換の場合は、1枚につき4000円から最高で4万8000円になっています。ただしガラス1枚の交換では補助金の対象にならず、補助金額の最低が5万円、上限は一戸あたり200万円になります。
高効率給湯機の設置で5万円か15万円もう一つの「給湯省エネ事業」とは、一定の省エネ性能を満たす高効率給湯機を設置する場合に、補助金がもらえる制度です。補助金の対象となる給湯機は、家庭用の燃料電池(エネファーム)、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリット給湯機)、ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の3種類になります。エネファームとハイブリット給湯機は、導入すれば補助金の対象になりますが、エコキュートについては2025年度の省エネ基準の目標値をクリアした機器でないと補助金の対象にはなりません。エコキュートを導入しようとする場合は、補助金の対象機器であるかの確認が大切です。
補助金額はエネファームが1台15万円、ハイブリット給湯機とエコキュートは1台5万円になっています。マンションなどの集合住宅では1台まで、戸建ての場合は2台までが補助金の対象になります。
「先進的窓リノベ事業」も「給湯省エネ事業」も、申請期限は今年の12月末になっています。ただし前者は1000億円、後者は300億円の予算が設けられており、予算を使い切ったら申請受付は終了します。予算の消化状況は、「住宅省エネ2023キャンペーン」のHPで確認できます。
はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』(ぱる出版)など著書多数。