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世界遺産登録20周年を迎える
真言密教の聖地へ

高野山【和歌山県】

取材協力=和歌山県東京観光センター、南海電気鉄道株式会社 文=中島彰子 写真=宮川透、榎木勝洋

高野山を下賜された空海が伽藍建立に着手した金剛峯寺。
現在では真言密教の中心地として多くの国宝を保有し、世界遺産にも登録されています。
今回はそんな日本仏教の聖地を歩きました。

紀伊半島の中央
文化財の宝庫・高野山へ
今年、世界遺産登録20周年を迎える高野山へ高野参詣道の女人道を歩いて国宝を訪ねる1泊2日の旅に出かけた。

高野山は紀伊半島のほぼ中央、和歌山県の標高約900mの山上の盆地に広がる宗教都市。約1200年前の弘仁7年(816)に空海によって、真言密教の根本道場が開かれたのが始まりだ。

2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として、「吉野・大峯」「熊野三山」とともに「高野山」が世界遺産の構成資産に登録。今年は20周年を記念したさまざまな特別体験イベントも企画されている。

今回訪ねる高野山の国宝建造物は壇上伽藍の不動堂と、金剛三昧院の多宝塔。高野山霊宝館には国宝21件を含む指定文化財が多数収蔵され、四季折々の特別展や企画展などで順次公開されるので立ち寄ることにした。

「天空」に乗り高野山へ
女人道を歩いて大門へ
高野山へは大阪のなんば駅から南海電鉄高野線で向かう。取材当日は途中の橋本駅から極楽橋駅へ、こうや花鉄道「天空」に乗ることにした。約20㎞の山岳地帯を走り、標高差443mの急勾配をレール音を響かせながらぐんぐんと登っていく。窓からは深緑の杉木立や里山、渓谷の風景が望め、秘境駅を過ぎて天上の別世界に行くようだ。

終点の極楽橋駅では高野山の風物が描かれた天井絵巻に心躍った。高野山ケーブルカーに乗り換え、急勾配の坂を登って高野山駅に到着。清々しい空気に包まれながらバスに乗り込む。そのまま高野山内に向かうのもいいが、女人堂の前で降り、女人道を歩くことに。女人禁制だった時代、山内に入ることが許されなかった女性たちが高野山の周囲を巡ったルートだ。急峻な山道を30分歩いて弁天岳を越え、嶽だけの弁財天社〈べんざいてんしゃ〉の鳥居をくぐって大門へ下りる。途中、根本大塔〈こんぽんたいとう〉を遠く望み、切ない気持ちになった。現代の私たちは自由に山内に入ることができる。高野山の西にそびえ立つ大門をくぐり、いざ、高野山内へ入っていくとしよう。

(ノジュール2024年6月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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