老後に備えるあんしんマネー学 第50回

さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。

この先の人生を整理できる
エンディングノートなど

文=畠中雅子 イラスト=平田利之

大型書店に行くと、「エンディングノート」のコーナーが設けられているところがあります。エンディングノートは、自分らしい終活を行うために役立つツールです。医療行為や介護に関する希望を書き記し、自分が望むお葬式なども、1冊のノートに書き残せるものです。「これからの人生」についてのことだけではなく、記憶に残っている事柄を書き残すことも可能です。

やりたいことを
確実にかなえるには
バケットリストの
作成がおすすめ
一方。バケットリストは、これからやりたいこと、あるいはやり残していると感じることを書き出して、ひとつでも多く実行に結びつけるために作成するリストです。やりたいことを実現するためのモチベーション維持に役立つツールともいえます。

エンディングノートや家計簿の中には、バケットリストの要素を書き込めるページが設けられているものもあります。50代の読者の場合、エンディングノートを作成するのは早いと感じられるでしょう。そこで50代の方は、バケットリストの作成から着手してみてはいかがでしょうか。

バケットリストによって
夢をひとつずつ実現中
私は40代半ばから、バケットリストを作っています。そのころはまだ子育ての真っただ中だったので、「末の子どもが大学生になったら○○をする」というように、子育ての終わりを意識しながら、バケットリストにやりたいことを書き出していました。また、私は世界中のミニチュアや鉄道ジオラマの展示施設を見学しており、子育てが落ち着いてからコロナ禍をはさみつつも、国内外約400カ所の見学をしました。見学予定の施設をバケットリストに書き出し、計画的に実行してきました。

バケットリストには、やりたいことだけではなく、実行する時期とそのためにかかる費用の見積もり、そしてその費用の捻出方法などを、できるだけ具体的に記入することが大切です。

バケットリストを作る方は増えていますが、時期や予算まで記入している方は少ないようです。実行時期=締め切りを設けておくと、先送りを防ぐ効果が得られますので、記入しましょう。

バケットリスト作りには
スマホのメモ機能の活用も
実行できたものには、完了マークを付けています。

スマホのメモ機能ではバケットリストのほかに、エアコンの交換や冷蔵庫の買い替えのような、「するべきことリスト」も作成しています。するべきことリストを作成して、家電の買い替え時期を管理していると、「そろそろエアコンの交換時期かな」という見込み(諦め)も立つので、急な不具合による支出を抑えられています。

ちなみに、バケットリストに掲載される項目の多くは、家計費の中では「特別支出」に分類される支出です。特別支出は毎月ではないけれど、1年のどこかで発生しやすい支出で、旅行費用や家電の買い替え費用などが、バケットリストに記載したい特別支出の代表的な存在といえます。

年金生活の場合、ボーナスのある現役時代と異なり、特別支出は預金から引き出すため、資産を減らす要因になります。資産を減らしすぎないようにするためにも、バケットリストには予算の見積もりも記入しましょう。

はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
最新刊『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店)など著書多数。

(ノジュール2024年12月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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