老後に備えるあんしんマネー学 第56回
さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。
がんの闘病経験者向けの
保険があるのをご存知ですか
がんのような大病を経験すると、その後は保険に入りにくくなると考える方が多くいらっしゃいます。なかには、新たに保険に加入するのは無理だと思い、保険加入を断念するケースもあるようです。
実際のところ、がんの闘病後は、自由に保険を選ぶのは難しい現実がありますが、最近では、がんを経験した方向けの保険が増えています。そこで今月は、がんの闘病経験者が加入できる保険をご紹介します。
告知不要の無選択型保険は
病気をしても入れるが、割高がんの闘病経験者向けの保険をご紹介する前に、誰でも加入できる無選択型保険にふれておきます。無選択型保険であれば、年齢条件をクリアするだけで、告知をせず、つまり健康状態にかかわらず、誰でも加入できます。
誰でも入れる保険があるのは心強い話ですが、無選択型保険は、病気をした方が入ることを前提に保険料が計算されています。そのため、告知をして加入する一般的な医療保険や死亡保険に比べて、保険料はかなり高めに設定されています。また、加入後1年などの一定期間は、保障額が減額されるなどの条件が付いている商品も少なくありません。
そこで、無選択型保険を検討する前に、多少の告知は必要になりますが、がんの闘病経験者向けに販売されている保険を検討してはいかがでしょうか。3社の具体的な商品を取り上げて、保障内容などをご紹介します。
女性特有のがんや大腸がん、
胃がん罹患者のがん保険最初にご紹介するのは、MICIN〈マイシン〉少額短期保険が扱う、がん保険3つと緩和型の入院保険です。商品名は、「がんを経験した女性を支えるがん保険」、「大腸がんを経験した人を支えるがん保険」、「胃がんを経験した人を支えるがん保険」、「新緩和型保険がんと向き合うための入院保障」で、いずれもネーミングのとおり、女性特有のがんや大腸がん、胃がんを経験した方のために開発されたがん保険です。
具体的には、がんを経験した女性を支えるがん保険は、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんを経験した方が、再発や新たながんに備える保険です。大腸がんや胃がんを経験した人を支えるがん保険も、再発や新たながんが発生した場合にがん診断給付金が出る保険です。いずれも、がんの手術などの治療から6カ月が経過していれば申込みが可能になります。新緩和型保険がんと向き合うための入院保障は、ほかの3つのがん保険には入れないがんを経験した方でも、がんの診断確定からステージに応じて最短で6カ月が経過していれば加入できる医療(入院保障)保険です。
保険料は胃がんを経験した人を支えるがん保険の場合、がん診断給付金が80万円。死亡保険金・高度障害保険金は付けない契約で、がんのステージⅠの50歳から54歳の保険料は、男性が月額3070円、女性は月額2630円。100・200・300万円の死亡保険金・高度障害保険金を付加することも可能で、保険期間は1年の自動更新になります。
はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載をもつほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店)など著書多数。