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小豆島(香川県)・岡山市(岡山県)

瀬戸内海に浮かぶオリーブの
聖地・小豆島をゆるり旅

文=大西桃世 写真=道海史佳

心地よい潮風と海、発酵の香り、オリーブの緑。
古くから息づく文化と、絶景を求めて小豆島へ。
スマホアプリで入手したお得なチケットやクーポンを活用しながら、ゆったりと流れる島時間を満喫しました。

瀬戸内、小豆島で
土地の恵みを味わう
自然の恵みと文化が調和する小豆島。新岡山港からフェリーに乗って島の玄関口の土庄〈とのしょう〉港に着くと、金色に輝く現代アート《太陽の贈り物》が出迎えてくれた。今年は3年に一度の瀬戸内国際芸術祭が開催されており、この作品は2013年の開催時から常設展示。島内では、各地にアート作品が展示されているので、島巡りとともに作品探しも楽しみたい。

島内の散策の前に、まずはランチへ向かう。目指すのは、フォレスト酒蔵MORIKUNIギャラリー。小豆島で唯一の酒蔵・小豆島酒造が営むショップ&カフェだ。名物の杜氏のまかない飯は、具だくさんの粕汁をはじめ、小豆島の農家が育てたお米や島の佃煮、隣接するMORIKUNIベーカリーの酒粕ケーキなど、島の恵みがたっぷり味わえる。食後には小豆島のオリーブ酵母酒など小豆島酒造のお酒をおみやげに買うのもおすすめだ。

お腹が満たされたら醤〈ひしお〉の郷へ。小豆島においてしょうゆ造りは400年以上の歴史をもつ伝統産業。昔ながらの製法を受け継ぐしょうゆ蔵が軒を連ね、歩いているとしょうゆの香りがどこからともなく漂ってくる。途中、オリーブ畑の中に展示されている立体アート作品《オリーブのリーゼント》を発見。自然とアートの融合を感じつつ、島の風と古きよき町並みを満喫した。

次に向かうのは、小豆島を代表するしょうゆ蔵・ヤマロク醤油のもろみ蔵。木桶や柱などに約100〜150種もの菌がすみ着いており、自然の温度変化を利用して熟成・発酵を繰り返しているという。約150年使い続ける木桶で仕込む鶴醤〈つるびしお〉は、芳醇な香りと深いコク、まろやかさを追求した世界に誇る逸品。見学後は、門かぶりの松が迎える純和風建築の喫茶・やまろく茶屋で、コク深いしょうゆをかけたアイスクリームを食べてひと息ついた。

童心をくすぐる
のどかなオリーブの丘
島の南央部、小高い丘の上に広がる道の駅小豆島オリーブ公園。日本で初めてオリーブの栽培に成功したこの地では、瀬戸内の海と風に揺れるオリーブの葉が柔らかな光を受けてきらめき、フォトジェニックな景色が広がる。

園内の雑貨コリコは、実写映画『魔女の宅急便』で使用されたグーチョキパン屋のロケセットがそのまま残り、どこを切り取っても絵になるかわいらしさ。園内でとれたオリーブの花などを用いた、ハンドメイドのフラワーアクセサリーや雑貨がずらりと並ぶ。園内にはギリシャ風の白い風車や、本のモニュメントなどフォトスポットが点在し、貸出し無料のほうきを片手に散策を楽しむ旅人の姿も。オリーブ色と赤い文字のコントラストが目を引く、幸せのオリーブ色のポストを見つけたので、青い海を背景に記念撮影を楽しんだ。散策後はオリーブ記念館で旅のおみやげ探しを。エクストラバージンオリーブオイルをはじめ、パンやヨーグルトと相性抜群の瀬戸内レモンオリーブオイル、小豆島オリーブ珈琲など、オリーブを使ったバリエーション豊かな商品を購入した。

日が傾き始めたので、今夜の宿・小豆島国際ホテルへ。明日の朝散策予定のエンジェルロードの入口に立つ老舗ホテルで、目の前には瀬戸内海が広がる。夕食には、新鮮な旬魚の刺身や小豆島そうめん、オリーブ牛の鉄板焼など、小豆島ならではの食材を用いた料理が供される。今日訪れた場所を振り返りながら、旅の一日がゆるやかに幕を下ろす。

(ノジュール2025年8月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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