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奈良の朱色を求めて

平城宮跡、春日大社へ

文=若宮早希 写真=山田大輔

平城京の遺跡・平城宮跡から、世界遺産の森に鎮座する春日大社へ。
緑に映える鮮やかな朱色の建造物が、奈良時代の栄華を現代に伝えています。
色あせない歴史の都・奈良をひとり気ままに歩きます。

天平文化が開花した
平城京に思いをはせる
平城京は、今から1300年以上前の和銅3年(710)に現在の奈良市に置かれた都。平城京を中心に花開いた天平〈てんぴょう〉文化は、中国・唐の影響を強く受けた仏教文化として繁栄した。数多〈あまた〉の仏教建築や仏教美術を生み出した74年間は、奈良時代とよばれている。

平城京はそれまでの都だった藤原京から遷都し、唐の都・長安〈ちょうあん〉をモデルに造られた。碁盤の目のように整然と区画された街には、当時10万人以上の人々が暮らしていたという。

平城京の政〈まつりごと〉を行うために造営された中枢施設が平城宮。東西1.3㎞、南北1㎞の敷地の地下には数多くの遺構が眠っており、発掘調査により各施設が復元されている。調査は現在も進められており、歴史公園として公開。国の特別史跡であり、ユネスコ世界遺産にも登録されている。

公園内は自由に散策でき、復元された宮城建築や資料館を見学することができる。平城宮跡の最奥にある第一次大極殿は、かつて天皇の即位などの国家儀式や外国使節の面会が行われた最重要施設。44本の朱色の柱で支えられた壮大な建物からは公園を見渡すことができる。迎賓館の役割を果たした東院庭園、平城宮の正門である朱雀門、復原遣唐使船など、広大な公園内に点在するみどころは尽きない。

往時を偲ばせる展示施設も見逃せない。平城宮跡資料館では、土器や瓦などの出土品に加え、天皇家の生活道具や調度品の復元品を展示。平城宮いざない館では、資料展示のほかに木簡作りや古代衣装体験などを通して、天平文化を五感で楽しむことができる。

(ノジュール2025年10月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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