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信長が見た空と、清流のせせらぎに出合う

岐阜城×長良川温泉

文=伊藤祐樹(エディットプラス) 写真=ハリー中西

金華山を望む城下町・岐阜で、ゆったりと歴史に浸る旅へ。
静かな寺で心を整え、老舗の味や手仕事にふれ、温泉で心も体も癒やされるー。
長良川の流れとともに刻まれた歴史と、温もりを感じる旅へと出かけてみませんか。

旅の始まりは
長良川沿いの岐阜城下から
長良川の清流に育まれた文化と、城下町の歴史を巡る岐阜の旅が始まる。まず初めに訪れたのは正法寺。大仏殿に足を踏み入れると、日本三大仏の一つともいわれる大仏が迎えてくれる。高さは13.63mで、大地震や飢饉で亡くなった人々の供養のため、天保3年(1832)に38年の歳月をかけて完成したものだ。その優しいほほ笑みと荘厳なたたずまいは、自然と心を静めてくれる。

その後、月待ち茶屋で昼食を。明治時代後期に建てられた味噌蔵を改装した趣深い空間が広がる。岐阜県産の旬の食材を使った八寸や新鮮な鯛の造りなど、昼から贅沢な食事が楽しめる。

食後は岐阜の伝統工芸にふれるべく、古い町並みが残る川原町のCASAstellaへ。和紙原料問屋だった松井邸を改装した建物に、和傘のショップや和紙照明ギャラリーが入る。美濃和紙で作られる和傘は加納藩の奨励で地域の産業として発展し、現代に受け継がれている。はす向かいの同団体が運営する施設・長良川てしごと町家CASAでは、岐阜ゆかりの手仕事を体験できる。今回は施設内の活版印刷室で版を作り、それを美濃手すき和紙に印刷する体験をした。

金華山を目指して歩き、途中、今年4月に開業した岐阜城楽市内にあるはちみつ専門店秋田屋に立ち寄る。文化元年(1804)創業の老舗養蜂問屋が営む専門店で、約30種類の蜂蜜が揃う。岐阜は近代養蜂発祥の地といわれ、蜂蜜店が多いのだとか。店頭で味わったソフトクリームは、蜂蜜のさっぱりとした甘みが口に広がり、旅の合間のひと息にぴったりだった。

(ノジュール2025年12月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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