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旅行ジャーナリスト・村田和子さんに聞く

知っておきたい
クルーズの“イロハ”

監修:村田和子 構成:佐々木ゆり(スケープス)

高まるクルーズ人気。リピート率は80%ともいわれています。
そこには一度経験したら忘れがたい素晴らしさがあるから。
おもてなしを大切にする日本船のみならず、手頃な料金から楽しめる海外のカジュアル船による日本発着クルーズも増え、選択肢や楽しみ方もいまやさまざまに。
自分らしいクルーズ旅にするための基礎知識をご紹介します。

その1
憧れの船旅が身近な存在に
高価と思われがちなクルーズですが、意外にも、カジュアル船なら1泊あたり1万円台からとリーズナブルです。昨今は船も大型になり、一度にたくさんの人を運べるので、その分だけコストが抑えられるようになってきました。欧米を中心に海外では「船旅は手軽に旅を楽しめる手段」として、クルーズが認知されています。

クルーズはアジアでも人気が高く、香港やシンガポール、上海などでは多くの外国客船が発着し、日本への寄港も増えています。外国船の日本発着クルーズは、必ず海外の港に寄港しなければならないという規則があるため、旅行期間は1週間以上からと長め。しかし、イタリア船の「コスタネオロマンチカ」が、金沢を出港して韓国の済州島に寄港する4泊5日のコースを、10万円以下の価格から用意するなど、利用しやすいものも登場しています。日本船では、花火大会クルーズやクリスマスクルーズなど1泊2日〜2泊3日のショートクルーズも企画され、最近は選択肢が増えて、客層を拡げています。

これまで日本発着の外国船は、造られてから年数の経った船が目立ったのですが、今年5月の連休中には、イタリアの新造船「コスタベネチア」が東京発着クルーズを、春と秋にはスモールラグジュアリー船として名高い、2017年就航の「シルバー・ミューズ」が日本発着クルーズを行うなど、新造船も日本発着で就航するようになってきました。さらに、昨年からジャパネットたかたがクルーズ事業に参入し、テレビショッピングで販売するなど、憧れるだけだったクルーズが、身近な旅のひとつになりつつあります。

クルーズはストレスフリークルーズのよさは、何といっても圧倒的な非日常感と、体に優しいこと。動くホテルといわれるとおり、旅の間はずっと同じ部屋で寝起きをするので、いったん荷物をほどいたら、旅の間は重たいトランクを持ち歩くことがありません。何カ所を訪ねても、寄港先では軽装で観光が楽しめます。自宅から船までの荷物も、日本発着のクルーズなら宅配便(別料金)で送れます。また、海外に寄港するクルーズでは、日本船でも外国船でもパスポートが必要となりますが、乗船時に預けると、入出国の手続を船会社が代行してくれます。

基本的に、クルーズ代金は移動費、客室代、食事代、スポーツジム、キッズルームなどの施設利用料が含まれているオールインクルーシブ。交通費のほかに宿泊費や食事代などがかかる通常の旅行よりリーズナブルです。ただし、アルコールや一部の飲み物、マッサージやエステ、カジノ、船内での買い物などは各自で。船内での支払では、乗船時に発行される「クルーズカード(乗船証)」を使い、後日、クレジットカードで決済されるしくみです。さまざまなわずらわしさから解放されるクルーズは、ストレスフリーの旅といえるでしょう。

(ノジュール2019年6月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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