50歳から知っておきたい「暮らしとお金」第2回

50歳から備える老後のお金

文:大竹のり子 イラスト:平田利之

「老後に2000万円必要」というのは本当?

老後に備えていくら準備しておけばいいのか気になる50代の方は多いはずです。テレビなどで「老後のために、2000万円準備しなくてはならない」という情報を見て、今の預貯金の状況と、60歳までの年数を数えながら不安を感じている方もいるかもしれません。

この「2000万円」という金額は、夫婦の場合が前提となっています。そこで、「我が家の場合」はいくら必要なのか計算してみましょう。

まずは、老後に支出がいくらあるのか把握します。リタイア後の生活費は現役時代の生活費のおおよそ7割くらいといわれています。総務省の家計調査によると、高齢夫婦の無職世帯の老後の支出は、1ヵ月当たり平均26万4000円です。

次に、老後の収入として公的年金がいくらもらえるのかを調べてみます。将来もらえる年金額は、現役時代の働き方や年収などで違ってきます。自営業など国民年金のみの人は、40年間保険料を納付した場合で1ヵ月当たり約6万5000円です。一方、会社員など厚生年金に加入している場合は、現役時代の年収などによって異なります。年収の違いによって年金額がどのように変わっていくのか、〈表1〉にあげた例で概算してみましょう。

老後の必要資金は、月々の不足額のほか、医療費や介護費用として200万〜300万円を加えて算出します。ここでは、仮に〈表1〉ケース③の場合で、老後生活期間を30年間として試算してみます(〈図1〉〈図2〉参照)。

つまり、ケース③の場合、約1400万円〜1500万円が、老後までに準備しておきたい金額です。

このように、老後のお金について考える場合は、〈図1〉〈図2〉の計算式に当てはめて、「我が家の場合」の見積もりを立てることが大切です。

大竹のり子〈おおたけのりこ〉
1975年生まれ。出版社の編集者を経て2005年女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。
現在、講演やメディア出演などのほか、『お金の教養スクール』の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝える。
『なぜかお金に困らない女性の習慣』『老後に破産しないお金の話』など著書多数。
ファイナンシャルアカデミー取締役。一般社団法人金融学習協会理事。
http://www.fpwoman.co.jp/

(ノジュール2019年11月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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