50歳から知っておきたい「暮らしとお金」第4回

家計を見直して
老後破たんを回避する

文=大竹のり子 イラスト=平田利之

公的年金の資本の
しくみと支給の条件

そろそろ老後の暮らしを考える年齢になったら、確認しておきたいのが公的年金のしくみです。いつからいくら公的年金を受給できるかによって、老後までに備えておきたいお金も、リタイア後の生活での家計のやりくりも変わります。老後に受け取る公的年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」に大別できます。老齢基礎年金の受給資格を得るには、年金保険料を10年以上納付しているか、納付と免除期間を合わせた期間が10年以上であることが必要です。この前提条件をクリアしていれば、原則として65歳から支給されます。一方、老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていれば、現在はもちろん、過去に1ヵ月以上厚生年金に加入していれば、老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができます。

また、支給される年金額は、老齢基礎年金は20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた場合の満額に、過去の加入月数と納付状況を加味して計算されます。老齢厚生年金は、過去の加入月数と加入期間中の収入等をもとに計算される仕組みです。

なお、昭和60年の法改正により、65歳になる前から老齢厚生年金の一部を受給できるケースもあります。女性の場合は昭和41年4月1日までに生まれた人が対象で、いつから支給されるかは生年月日によって異なります。ただし、厚生年金に1年以上加入経験があることが条件になるので注意をしてください。

「ねんきん定期便」で
自分の年金を確かめよう

実際にいくら公的年金を受け取れるのかを自分で計算することは、容易なことではありません。なぜなら、多くの場合、20歳を超えてから現在までの間には、会社員として厚生年金に加入したり、夫の扶養に入ったり、収入が増減したりと状況が変わっているからです。

しかし、日本年金機構から毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を見れば、これまでの加入状況に応じたおおよその年金額を簡単に知ることができます。

とくに、50歳を超えると、これまで納めた年金保険料に対するおおよその年金額がわかるだけでなく、このまま60歳まで年金保険料を納め続けた場合の見込額が記載されるようになるので、この金額をもとに老後の生活設計を考えてみると、よりリアリティが増すでしょう。

ただし、厚生年金に20年以上加入していて、65歳になった時点で、扶養する65歳未満の配偶者がいる場合には、自分の老齢年金に「加給年金」が上乗せされます。しかし、これは「ねんきん定期便」の見込み額には含まれていません。当てはまりそうな場合には、あらかじめ社会保険事務所などに問い合わせて見込み額を聞いておくとよいでしょう。

大竹のり子〈おおたけのりこ〉
1975年生まれ。出版社の編集者を経て2005年女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。
現在、講演やメディア出演などのほか、『お金の教養スクール』の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝える。
『なぜかお金に困らない女性の習慣』『老後に破産しないお金の話』など著書多数。
ファイナンシャルアカデミー取締役。一般社団法人金融学習協会理事。
http://www.fpwoman.co.jp/

(ノジュール2020年1月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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