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首里城と玉陵の起こりを学ぶ

沖縄 OKINAWA

文=鳥居美砂 写真=島袋 浩

読者の皆さんにとって、沖縄への修学旅行は馴染みがない方も多いかもしれません。
それもそのはず。沖縄は、1969年頃から修学旅行先として増え始め、いまや高校生の旅先ナンバーワンに入る人気ぶり。
修学旅行の定番となる琉球王国の世界遺産や、500年前の古道へ足を延ばして…かつてはなかった修学の旅へ。

門や石積み方法まで
見どころ満載の首里城
ノジュール世代が高校生だった頃、修学旅行先といえば、関西の方なら東京、関東なら京都あたりだったのではないだろうか。ところが、近年では沖縄県が高校生の修学旅行先としては第1位。飛行機で南国への修学旅行とは……。まさに隔世の感がある。

目的地の定番としては、ひめゆりの塔や沖縄平和祈念公園といった平和学習施設と並び、首里城が必ず上位に挙げられる。しかし、昨年10月31日に正殿から出火。その正殿は全焼し、隣接する北殿や南殿のほか7棟にも延焼した。火災後は立ち入り禁止区域が広く設けられていたが、昨年12月14日からは、正殿などのある有料区域以外はほとんど利用できるようになっている。

首里城は琉球王国時代の政治・経済・外交・宗教の中心として繁栄を極めた象徴である。正殿周辺の見学は無理としても、まだまだ見どころはあるはずだ。そこで、知識豊富なガイドの案内で観光できる那覇市観光協会の「那覇まちま〜い」の「首里城物語り」コースに参加してみた。

この日の案内役は、ガイド歴6年目という平良鈴子〈たいらすずこ〉さんだ。守礼門の前でいきなりのクエスチョン。「さて、首里城は誰が建てたのでしょうか? 実は、誰が建てたのかわからないのです。北山・中山・南山に分かれていた三山が統一され、1429年に琉球王国が誕生したとき、すでに城があったのです。琉球の城は『グスク』と呼ばれ、日本の城とは性質が異なります。城内には『京の内〈きょうのうち〉』と呼ばれる祭祀空間があって、おそらくこの場所が首里城発祥の場所ではないか、とも考えられています」

次に向かったのは、首里城の正門にあたる歓会門〈かんかいもん〉だ。平良さんは、楕円形の石積みのアーチに木造の櫓がのった様式は、沖縄の門の特徴をよく表しているという。

(ノジュール2020年3月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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