50歳から知っておきたい「暮らしとお金」第8回

50代から考えておきたい
老後の住まい

文=大竹のり子 イラスト=平田利之

老後も安心して持ち家に
住み続けるには
リタイア後、住み慣れた家に住み続けるのか、住みやすいところに住み替えをするのか。老後の住まいをイメージしながら50代から資金計画を立て、老後の暮らしの準備を始めることはとても大切なことです。

ずっと現在住んでいる家に住み続けたいと思っている人は少なくないはずです。とくに住宅ローンの支払いを終えた持ち家である場合、毎月の住居費がかからないという点は大きなメリットでしょう。ただし、住宅ローン以外の費用として、固定資産税や修繕費、さらにマンションの場合には管理費等も必要になります。また、歳を重ねると、部屋の移動やトイレの立ち座りなどの、ちょっとした動きがつらくなることもあります。そこで、バリアフリーにしたり、手すりを設置したりするためのリフォーム費用もしっかり資金計画の中に入れておきたいところです。

多くの自治体では、こうしたリフォームに対して補助金を支給しています。補助金額や対象者は自治体によって異なりますので、居住する自治体に確認してみてください。

2021年度末までの期限付きですが、投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)といって、50万円を超えるリフォームを行った場合に、20万円を上限に工事費用の10%を所得税から控除できる制度もあります。こちらは50歳以上の人が対象になります。まとまった所得税を納めている現役のうちに、こうした制度を活用してリフォームしておくというのも賢い選択です。

お金をかけたリフォームだけではありません。歳を重ね、身体能力が衰えてくると、家の中のカーペットの段差や家具などわずかの段差にもつまずいて転倒し、怪我をする可能性が十分にありえます。物をできるだけ処分したり、生活の基盤を1階に移したりするなど、お金をかけずできることも考えていきましょう。

また、持ち家があれば、リバース・モーゲージを利用することもできます。リバース・モーゲージは、そのまま自宅に住み続けながら、自宅を担保に借り入れし、死亡したときにそれまでの借入金を精算する制度です。各都道府県の社会福祉協議会や一部の金融機関が取り扱いをしています。借り入れたお金は生活資金として利用できるので老後資金の準備が楽になりますが、自分が亡くなった後に持ち家を売ることになる可能性が高いので、子どもなど法定相続人がいる場合にはしっかりと話し合っておくことが必要です。

大竹のり子〈おおたけのりこ〉
1975年生まれ。出版社の編集者を経て2005年女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。
現在、講演やメディア出演などのほか、『お金の教養スクール』の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝える。
『なぜかお金に困らない女性の習慣』『老後に破産しないお金の話』など著書多数。
ファイナンシャルアカデミー取締役。一般社団法人金融学習協会理事。
http://www.fpwoman.co.jp/

(ノジュール2020年5月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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