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50歳から知っておきたい「暮らしとお金」第10回

いざというときのための
公的介護保険

文=大竹のり子 イラスト=平田利之

もしもの前に知っておきたい
公的介護保険制度の基本
「長生きリスク」という言葉をあちこちで目にするようになりました。長生きできることは恵まれたことである反面、長生きすればするほど介護が必要な状態になった後の金銭的な負担も大きくなりがちです。歳を重ねるにつれて、親の介護だけでなくパートナーや自分の介護に不安を覚えている方も少なくないのではないかと思います。そういった場合に備えて、介護に関する知識を身につけておきましょう。まずは、公的介護保険について見ていきましょう。

40歳を迎えると、健康保険料とともに介護保険料を支払うことになります。これにより、65歳以降に要支援・要介護と認定された場合は、介護サービスを受けられます。また、65歳未満でも、特定の病気で要支援・要介護と認定された場合は介護サービスを受けることができます。

介護認定を受けるには、介護が必要になった時点で市区町村の窓口に申請をする必要があります。家族が代理で申請することもできます。申請後、市区町村による認定調査が行われます。申請者本人への訪問調査やかかりつけ医による意見書などをもとに、要介護度が判定されます。

認定審査が終わると、申請から原則30日以内に認定結果の通知が市区町村から郵送されてきます。認定は、要支援、要介護、非該当に分かれています(表を参照)。介護保険で利用できる内容や限度額は、要介護度によって異なります。

公的介護保険の介護サービスを受けた場合、原則として自己負担割合は1割ですが、所得によっては2割もしくは3割となることもあります。認定結果とともに送付される「介護保険負担割合証」に記載されていますので、あわせて確認するとよいでしょう。

介護保険サービスには
どんなものがあるの?
公的介護保険の介護サービスには、大きく分けて在宅サービスと施設サービスの2種類があります。在宅サービスには、ホームヘルパー(訪問介護員)に自宅へ訪問してもらい日常生活を手助けしてもらうホームヘルプサービスや、訪問看護などがあります。施設サービスでは、施設に通って食事や入浴、レクリエーションなどを受けるデイサービスや、介護老人保健施設や病院、診療所などに通ってリハビリを受けるデイケアなどがあります。

これらの介護サービスのうち、利用できるサービスの内容や回数、支給限度額は、要支援・要介護度の認定区分によって異なります。まずは認定通知とともに送られてくる事業所一覧から事業所を選んで連絡をしてみてください。事業所に所属するケアマネジャーがケアプラン(サービス計画)を作成してくれます。サービス利用料金や自己負担額がいくらになるかといった計算もしてくれます。

認定結果によっては希望するサービスが公的介護保険の範囲では受けられない場合もあります。そういった場合は、お住まいの自治体に確認してみましょう。自治体が介護予防や生活支援のための独自のサービスを実施している場合もあります。たとえば、東京都世田谷区では、理学療法士が指導助言してくれる「筋力アップ教室」や、デイサービスを利用していない要支援者等が外出のきっかけをつくれるような大学を会場とした通所プログラムなどがあります。それ以外にも、アート体験やヨガ、ミニ講義など自治体ごとにバラエティに富んだものがあります。

もちろん、希望すれば支給限度額を超えて介護サービスを受けることもできます。ただし、超過分は全額が自己負担になります。こうした場合に備えるのであれば、生命保険会社が取り扱っている民間の介護保険に加入しておくという方法もあります。一般的に、公的介護保険の認定基準に基づき、要支援や要介護と認められれば、あらかじめ決められた給付金が一時金または年金形式で受け取れるようになっているものが多いようです。また、解約返戻金や死亡保険金も付いているものが多いので、掛け捨てになるのも防げます。

「人生100年時代」です。まずは、介護が必要になったときにどのような希望があるのか、親やパートナーと事前に確認し合っておくことから始めましょう。

大竹のり子〈おおたけのりこ〉
1975年生まれ。出版社の編集者を経て2005年女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。
現在、講演やメディア出演などのほか、『お金の教養スクール』の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝える。
『なぜかお金に困らない女性の習慣』『老後に破産しないお金の話』など著書多数。
ファイナンシャルアカデミー取締役。一般社団法人金融学習協会理事。
http://www.fpwoman.co.jp/

(ノジュール2020年7月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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