サクッと15分 京懐石の老舗が教える旬のおかず 第2回

創業70年の京料理店「木乃婦」のご主人に教わる旬の食材で作るおかず。
京の老舗の味を家庭で手軽に楽しみましょう。

揚げ豆腐と
ほうれん草の味噌汁

文=山口春菜(エディットプラス) 写真=鈴木誠一

たっぷりのほうれん草と
香ばしい揚げ豆腐が主役
一年中、多くの品種が出回るほうれん草。本来の旬は11〜2月頃、この時期のものは甘みとやわらかさが増し、ビタミンなどの栄養価も高まる。葉が厚めで緑が濃く、ボリューム感のあるものを選ぶようにしたい。今回は、寒さでうまみが増したほうれん草をたっぷり食べられる、定番の味噌汁をひと工夫。香ばしい揚げ豆腐を加えた「食べる」味噌汁だ。

まずは豆腐の水気を切って……と聞くと、手間がかかりそうだが、「水分を取るのは表面だけなので水切りは5分ほどで大丈夫です。なかの水分は残して、つるんとなめらかな食感を楽しみましょう」と髙橋さん。「水分をペーパーに吸わせると、表面がかちっと固まるので、油で揚げてもほとんどはねません」。その言葉の通り、油の中の豆腐は意外なほど油はねせず焼き色がついた。面を変えると温度が下がるので、火加減を調整しながらきつね色に仕上げよう。盛り付けの直前に、下茹でしたほうれん草を味噌汁の鍋でさっと温めると、仕上がりが水っぽくならず、ほうれん草も温かい状態でいただける。「ちょっとした手間でおいしさが増します。生姜と青ねぎを合わせた薬味は、シャキシャキの食感も楽しいですよ」。

作り方

  1. 豆腐を3㎝ほどの拍子木切りにし、ペーパータオルで隙間ができないようにきっちり包み、皿やバットに5分ほど置いて水気を切る。

  2. ほうれん草は湯がいて冷水でさまし、水気を切って3〜4㎝に切る。青ねぎは刻んで水にさらす。みじん切りにした生姜と、水気を切った青ねぎを混ぜ合わせておく。

  3. 1のペーパータオルを外し、全体に片栗粉をまぶす。フライパンに1㎝位の油を入れて温め、豆腐の4面を順番にきつね色になるまで弱火でゆっくり焼く。椀に豆腐を盛る。

  4. 鍋で出汁を温め、味噌とみりんを入れる。味噌汁の中でほうれん草を1分ほど温め、豆腐を入れた椀に汁とともに盛る。生姜と青ねぎを盛り付け、炒り胡麻をふりかけて仕上げる。

京料理 木乃婦〈きょうりょうり きのぶ〉
電話: 075-352-0001
住所: 京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416
営業時間: 11時30分~14時30分、18時~19時30分
定休日: 水曜
予算: 昼のミニ会席5500~7700円、旬の会席1万
5750円~2万7500円

(ノジュール2020年11月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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