サクッと15分 京懐石の老舗が教える旬のおかず 第10回

創業85年の京料理店「木乃婦」のご主人に教わる旬の食材で作るおかず。
京の老舗の味を家庭で手軽に味わいましょう。

夏野菜の甘酢あんかけ

文=山口春菜(エディットプラス) 写真=鈴木誠一

野菜のおいしさを引き立てる
出汁を感じる甘酢あん
日ごとに野菜のおいしさが増す季節。高橋さんが用意したのは、ナスやズッキーニなどたっぷりのみずみずしい夏野菜。色とりどりの野菜のなかで、今回のポイントは夏に収穫のピークを迎えるカボチャ。 熟してホクホク感が強まる秋以降のカボチャよりも、あっさりとした甘さが夏のカボチャの特徴。「甘酢あんの料理は、カボチャのようなやさしい甘さが意外とよく合う。味の幅が広がるのでぜひ試してください」。

今回はレシピがシンプルな分、野菜の切り方や調味料の分量など、基本的なところを丁寧に。「気を付けたいのは野菜の切り方。食材の断面がきれいだと料理はおいしくなるので、必ずよく切れる庖丁を使いましょう」。カボチャのような硬い食材は、庖丁の先端をまな板に固定して刃を垂直に下ろすと切りやすい。野菜を揚げる前にまぶす片栗粉は、薄めでOK。「衣が付くとあんがよく馴染みます。薄い衣だと揚げ物でも重くならないので、夏向けの味わいに仕上がりますよ」。甘酢あんは一般的なものより酢がかなり控えめ。「出汁のおいしさを感じるあんが野菜によく合うので、分量はきちんと守ってくださいね。生姜をしっかり効かせるのもポイントです」。

作り方

  1. カボチャは3㎝角に切って硬い皮をむく。ほかの野菜もそれぞれ食べやすい大きさに切り、ナスとミョウガは水にさらす。生姜は皮をむいてすりおろす。

  2. 生姜以外の《1》の野菜(水気のあるナスやズッキーニは水分をよくふき取ってから)に片栗粉を薄くまぶす。

  3. 鍋(または深めのフライパン)に油を入れ、160〜170℃で火の通りにくいカボチャからナス、ズッキーニ、赤万願寺とうがらしと順に揚げる。ナスは皮面から油に入れると鮮やかな色に仕上がる。

  4. 鍋に甘酢あんの材料を入れて火にかける。沸騰したら水溶き片栗粉でとろみをつけ、おろし生姜を加える。器に《3》を盛り、甘酢あんをかけて仕上げに青柚子の皮をすりおろして振る。

京料理 木乃婦〈きょうりょうり きのぶ〉
電話: 075-352-0001
住所: 京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416
営業時間: 12時~14時30分、18時~19時30分
定休日: 不定休
予約: 旬の会席1万6500円~2万7500円

(ノジュール2021年7月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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