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2022 京の冬の旅

秀吉が生んだ桃山文化の粋にふれる

文=戸塚江里子 写真=京都市観光協会、智積院

織田信長の頃から続く安土桃山時代、豊臣秀吉が天下を治めると京都はいっそうの繁栄を見せます。
それは文化にも色濃く反映され、建築や絵画、庭園、茶の湯など、貴重な文化財を数多く生み出しました。

桃山時代を代表する書院造
障壁画、天井画にも注目
京都市内を南北に貫く堀川通。その京都駅にほど近いところに、浄土真宗本願寺派の本山・西本願寺が広大な境内を構える。親しみをこめて「おにしさん」とも呼ばれ、門前には、昔ながらの仏壇仏具店が軒を寄せ合う。

浄土真宗の開祖・親鸞聖人の廟堂〈びょうどう〉から発展した本願寺は、激動する時代のなか、京都山科、大坂石山など各地を転々とするが、秀吉から現在地を寄進され、再び京へ戻ることになった。

この冬は、通常非公開の書院を僧侶の案内で拝観できるまたとない機会。玄関口の虎の間〈ま〉は、板壁に狩野派の渡辺了慶〈わたなべりょうけい〉筆とされる竹林で戯れる虎が描かれている。桃山時代、寺を訪れた客人は、ここで身支度を整え、次なる対面所へ向かったのかもしれない。

欄間に雲間を飛ぶ鴻〈こうのとり〉の透かし彫りがあることから鴻〈こう〉の間と呼ばれる広間は、門主との対面を果たす場。この部屋は、南能舞台を前にしており、客人も能を楽しんだのであろう。

白書院〈しろしょいん〉に向かう途中の雀〈すずめ〉の間雁〈がん〉の間菊〈きく〉の間」では、障壁画だけでなく天井画にも注目したい。

とくに大切な客人をもてなす部屋として使われてきた白書院には、一の間から三の間の3つの部屋が並ぶ。三の間の襖には桜の下で羽を休める孔雀、紫明〈しめい〉の間とも呼ばれる一の間は、格式高い折上格天井〈おりあげごうてんじょう〉を備え、襖には中国古代の皇帝に関する故事が描かれている。白書院からは、現存する最古の能舞台である北能舞台を目にすることもできる。

一見、廊下にすぎない東狭屋〈ひがしさや〉の間では天井画を見逃さずに。書物や巻物が描かれており、ネズミから紙を守る目的で八方睨みの猫が一匹配されている。ぜひ探してみよう。

最後の虎渓〈こけい〉の庭は、中国廬山〈ろざん〉の麓に広がる渓谷を模した、白砂が川のように流れる枯山水。御影堂〈ごえいどう〉の屋根を廬山に見立て、借景として利用しているのが面白い趣向だ。

(ノジュール2022年1月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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