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アートスポットが続々オープン!

中之島から始める美術館めぐり

文=佐川深雪 写真=合田慎二

今年、水都・大阪で、貴重なコレクションを所蔵する美術館2館がオープンしました。
風そよぐ季節、堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島から、大川そばの網島町まで、ぶらり出かけませんか。

構想から約40年
近現代美術館が誕生
行政・経済・芸術などの多様な分野で大阪の中核を担う中之島。江戸時代には各藩の蔵屋敷が並び、全国から人と物資が集積する天下の台所として発展した。明治時代には学校、病院などが財界や市民の支援で建設され、その面影を現在に残す。大阪人の心意気でもある寄付文化も継承されている。

今回の大阪アート散歩の始まりは、そんな中之島の西部エリアに今年2月に開館した「大阪中之島美術館」から。JR、阪神、京阪、大阪メトロ、市バスなどアクセスの選択肢が多いが、目指すのは〝ブラックキューブ〞と呼ばれる、地上5階建ての黒い直方体の建物。高層ビルが立ち並ぶ風景に埋もれることなく、周囲と調和しながら存在感を放っている。

「ある人は通り抜けたり、またある人はアートを体験したり、アートの活動拠点とするなど、流動的な空間をめざして設計されました。1階・2階には出入り口が3ヵ所ずつあって、誰もが利用できる空間になっています」と、広報担当の山本桃子さんが教えてくれた。公募型設計競争(設計コンペ)で大阪市が示したテーマ「展覧会の入場者だけでなく幅広い世代の人が誰でも気軽に、自由に訪れることのできる賑わいのあるオープンな屋内空間」を具現化した空間は、パッサージュ(遊歩空間)が象徴的で、5階から1階へ自然光がやさしく降り注ぐ。

4階・5階で作品鑑賞を楽しむ以外に、共用空間に設置された椅子や傾斜がゆるやかな階段など、随所にちりばめられた思いも見つけてみてほしい。

(ノジュール2022年5月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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