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日本一の茶どころ静岡でやりたいこと

絶景の中で新茶を味わう

文=峯田亜季、佐々木ゆり、山口あゆみ 写真=阿部伸治、入江啓祐

お茶のくに、静岡ではお茶をもっと味わう、お茶のあらたな魅力に出会うさまざまなプログラムが生まれています。
茶畑の緑がまぶしい季節、お茶の里でゆったりほっこりしませんか。

茶畑がつくりだす
さまざまな絶景
うねる丘陵地にぎっしりとお茶の木の緑が広がる。そして、まるで迫りくるように聳える富士山。そんな絶景の中で、この地で栽培され収穫されたお茶をゆったりと味わう。流れる風もすがすがしく、心洗われるひとときだ。

ここ大淵笹場〈おおぶちささば〉は静岡の茶産地の中でも北に位置する富士市の茶畑だ。地域の人々の景観保全活動で茶畑のすばらしい景観が保たれている。その真ん中で90分貸し切りでお茶を味わうことができる、富士山の茶の間と名付けられたティーテラスがある。

静岡県は日本一の茶どころ。北に富士山と南アルプス、南に駿河湾を抱き、さまざまな地形と風土をもつがゆえに、その地によって個性の違うお茶が栽培され、また茶畑の風景もさまざまだ。そうした静岡ならではのお茶の魅力を五感で体感してもらおうという、若手の茶生産者とともにスタートしたのが「茶の間」だ。お茶畑の中に設けられたテラスでお茶を味わい、また栽培者の方からお茶について話を聞くこともできる。

富士山の茶の間でお会いしたのは、大淵笹場の景観保存会の一員であり、茶農家の本多茂兵衛〈ほんだもへい〉さん。「日本に根付いていた〝お茶を淹れる〞という習慣が最近は減ってしまいました。お互いにお茶を淹れ合いながら、そこにゆったりとした会話や相手への思いやりが生まれる。ここに来られた方には、お茶を挟んで、ご一緒の方とゆたかな時間を味わっていただきたいと思っています」

本多さんが淹れてくださったお茶をいただくと、味、香り、のど越し、さまざまな感覚が呼び起こされるように感じた。

こうしたティーテラスは静岡県内に全部で7ヵ所。たとえば、静岡市の山間部、支流を上った集落「諸子沢〈もろこざわ〉」の黄金みどり茶園は、30年以上前に突然変異で生まれた黄色い新芽1本から始まった黄金色の茶畑が目前に広がる、黄金の茶の間だ。茶畑の絶景とお茶の深い味わいをこころゆくまで。

(ノジュール2022年5月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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