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雲海に浮かぶ壮大な山城と
山田方谷の足跡を訪ねる

備中松山城【岡山県高梁市】

文=ウエスト・パブリッシング 写真=宮田清彦

臥牛山山頂に優美な姿を見せる備中松山城。
秋は雲海と紅葉に包まれます。ここはいま、可愛い猫城主「さんじゅーろー」でも話題沸騰。
麓の城下町に目を向ければ、幕末維新の賢人、山田方谷が見直され、大きな注目を集めています。


山城唯一の現存天守と
圧倒的迫力の大石垣
日本には数多くの城があるが、江戸時代からの天守を残す「現存天守」は、全国にわずか12城しかない。高梁〈たかはし〉市にある備中〈びっちゅう〉松山城がそのひとつだ。中でも、山城に天守が残る城は、国内で唯一この城だけである。

JR伯備線で備中高梁駅に降りると、まず駅前広場に立つ山田方谷〈やまだほうこく〉像に出会う。幕末、備中松山藩で藩政改革を成した高潔の士である。まずは、備中松山城を目指し、駅前から乗合タクシーでふいご峠へ。

高梁市街の北端、土地の人は「おしろやま」と呼ぶ臥牛山〈がぎゅうざん〉(標高約480m)に、備中松山城は立つ。車で行けるのは8合目、ふいご峠までである。その昔、三振の宝剣が作られた場所で、精錬のために大きな鞴〈ふいご〉が設置されていたという。これより先は、徒歩で約20分、700mの山道をゆく。わずかな距離とはいうものの、さすがは日本屈指の山城。息を弾ませながら一歩ずつ踏みしめる。

(ノジュール2022年9月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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