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創立150年!

“国宝のトーハク”徹底案内

文=笹沢隆徳(エイジャ) 写真=東京国立博物館

2022年、東京国立博物館(以下、トーハク)は創立150年を迎えました。
日本で最も長い歴史をもつ博物館として、文化財の保存と公開の責務を担い続けてきた、日本が世界にも誇る“知の殿堂”。
創立150年を記念して、トーハクでは多くの催しが行われています。
なかでも必見が、東京国立博物館創立150年記念特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」。
その見どころを、この展示会を担当する研究員の佐藤寛介さんにお聞きしました。

湯島の小さな博覧会が
東京国立博物館の始まり
明治5年(1872)、神田・湯島聖堂の大成殿で、文部省博物局による最初の博覧会が開かれた。「漢委奴国王」と記された金印や、名古屋城の金鯱などが展示され、多くの見物客で賑わったこの博覧会こそが、日本の博物館のルーツであり、トーハクの始まりでもある。この「文部省博物館」は翌年、内山下町(現在の千代田区内幸町)に移転。明治9年(1876)、上野公園が博物館の所管となり、明治15年(1882)にイギリス人建築家、ジョサイア・コンドル設計の博物館「新館」(旧本館)が開館したことで、現在の上野での博物館の歴史が始まった。以後、国の歩みに合わせて所管や名称が変わり、東京国立博物館と改称されたのは昭和27年(1952)のことである。

現在でこそ、「トーハク」の愛称で親しまれているが、佐藤さんによると、設立当初の博物館の立ち位置は、ある意味〝上から目線〞だったという。「近代化を進める日本にとって、博物館は〝西洋に追いつけ追い越せ〞という、文明開化の象徴的な存在として誕生しました。その後、明治19年(1886)に宮内省の所管となり、皇室および国家の象徴としての役割を担うようになりました。それが戦後、国民のための博物館へと舵を切っていきます。そして時代が進むにつれ、国民により親しまれる博物館へと〝目線〞がどんどん下がっていくのです。時代の求めに応じて博物館が姿を変えてきたわけで、博物館は言ってみれば〝時代を映す鏡〞。令和の時代に求められている役割は、〝皆様とともに歩む博物館〞だと思っています」

89件の国宝にみる
トーハクのエッセンス
時代とともに歩んできた150年。トーハクでは、このメモリアルイヤーを飾るにふさわしい多彩な展示やイベントが催されているが、なかでも最注目といえるのが、東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」だ。トーハクが所蔵する国宝は、一博物館の所蔵数としては日本一の89件に及ぶが、それがすべて展示されるのだ(期間中、展示替えあり)。150年の歴史の中で、初の試みである。「今の博物館の役割を認識した上でどんな展覧会を行うべきかを考えた時、皆様への感謝の意味を込めて、トーハクのありのままの姿を見せたいという思いがありました。ただし、所蔵品は約12万件と膨大で、博物館としては日本一歴史が長い。象徴的な部分をすべて見せるという意味で『国宝 東京国立博物館のすべて』というタイトルにしました。国宝に象徴されるトーハクの所蔵品のエッセンスを見ていただくと同時に、150年の歴史の概略を展示で示すことで、トーハクの姿を立体的に理解していただけるような展覧会ですので、節目の年にふさわしいと思っています」

単に国宝を並べただけ、と言うなかれ。博物館には文化財の保存という大切な役割があり、通常は数年間のサイクルで、数点ずつ計画的に作品展示を行っている。研究員たちが専門的な知見から、相反する「公開」と「保存」をコントロールしているのだ。「当館のすべての国宝を一度の展覧会で揃えられたのは奇跡的なこと。数年後を見据えて、数年前からスケジュール調整を重ねてきた、各研究員の理解と協力、努力の賜物です。もちろん、すべての国宝が全期間で展示されるわけではなく、展示替えがありますので、詳細はご来館前に展覧会公式サイトをご確認ください」

今回の特別展は、第1部の「東京国立博物館の国宝」と、第2部の「東京国立博物館の150年」の2部構成仕立て。150年にちなみ、第1部では89件、第2部では61件の計150件が展示される。

(ノジュール2022年9月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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