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話題の2つの島をつなぐ
瀬戸内スロートリップ
〈宮島(広島県)・周防大島(山口県)〉
文=宮本喜代美 写真=松隈直樹
約3年半ぶりに勇壮な姿を現した嚴島神社の大鳥居を見た後は、島民や移住者の人柄や活気が魅力の〝瀬戸内のハワイ〞こと周防大島へ。ゆったりした島時間を過ごせば、夫婦の絆も深まります。
島というよりまるで山脈
荘厳さ漂う安芸の宮島フェリー乗り場から海越しに眺めた宮島は、記憶の何十倍も大きかった。もっとこぢんまりした島だと思っていたが。古より島そのものが信仰の対象だったという宮島は、厳かで圧倒的な存在感を放っていた。
関西で10代を過ごしたノジュール世代にとって、嚴島神社は修学旅行の見学地のひとつだった、という人も多いのではなかろうか。私たち夫婦も、学校は違ったが小6の修学旅行で行ったきり、約40年ぶりの参拝となる。
嚴島神社は、海上の守護神である市杵島姫命〈いちきしまひめのみこと〉、田心姫命〈たごりひめのみこと〉、湍津姫命〈たぎつひめのみこと〉を祀っている。創建は推古天皇元年(593)。その後の仁安3年(1168)、嚴島神社を篤く崇敬した平清盛により、寝殿造の様式を取り入れた社殿に修造された。世にも稀な海の上の社は、鮮やかな朱塗りが美しく、変化に富んだ長い廻廊内には、時折、海から照り返す陽射しがきらめく。社の至る所から見える大鳥居は、2022年12月に約70年ぶりとなる大規模修復を終えたばかりで、いっそう堂々たる姿でそこに立っている。懐かしさよりも、新鮮な感動を覚える力強い佇まいだ。潮が引けば浜を歩き、大鳥居をくぐることができる。その造形美を間近で堪能したいなら、引き潮の時を狙って参拝するのがいいだろう。
参拝後、瀬戸内の漁師料理が発祥とされる郷土料理・あなごめしを求めて、明治35年(1902)創業の老舗、あなごめしふじたやへ。この店のあなごめしは、白ご飯の上に天然アナゴの蒲焼が整然と並び、じつに見目麗しい。あらかじめ素焼きし、注文が入ってからタレを塗り焼き上げる蒲焼は、鼻に抜ける香ばしい香りが格別だ。創業時から受け継いでいるタレの絶妙な甘辛さに、箸が止まらない逸品である。
参道に戻り、宮島で唯一の自家焙煎珈琲店、伊都岐珈琲宮島でカフェラッテをテイクアウト。鮮度にこだわった豆を使用しているため、しっかりビターだが後味はスッキリ、参拝後の体に染み渡るおいしさ。これからの季節はスペシャルティコーヒーソフトクリーム450円もおすすめだ。