老後に備えるあんしんマネー学 第43回

さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。

旅行のキャンセルや、停電などを補償する少額短期保険

文=畠中雅子 写真=平田利之

2006年に制度ができてから、18年目を迎える少額短期保険。今年の3月中旬時点で、少額短期保険会社の数は122社まで増えています。会社の数が増えるとともに、扱う保険商品の保障(補償)内容もバラエティ豊かになってきています。

少額短期保険は、保険期間は1年間、あるいは2年間に限定、引き受けられる保険金額は、医療保険で80万円まで、死亡保険では300万円まで、1人の被保険者の合計額では最高1000万円です。保険期間や保険金額に制限が設けられているものの、ニッチでユニークな保険商品を多く扱っているのです。

そのような少額短期保険の中から、2023年度の少額短期保険大賞にエントリーされた4商品をご紹介します。

旅行のキャンセル料が
全額戻る保険
初めにご紹介するのは「キャンセル保険」です。この保険を扱っているのは、Mysurance株式会社。キャンセル保険に加入しておくと、急な体調不良に見舞われたり、ケガを負って通院や入院したり、交通機関の2時間以上の運休・遅延あるいは欠航に遭ったり、インフルエンザに感染してしまうなど、不可抗力な原因で旅行をキャンセルすることになった場合に、キャンセル料を補償してもらえます。

キャンセル保険には、国内旅行を対象とする「Travelキャンセル保険」と、海外旅行を対象とする「海外旅行キャンセル保険」があり、いずれも旅行の予約から14日以内、旅行出発まで9日以上の期間が残されている場合に申し込めます。

旅行に行きたいけれど、万が一のトラブルを考えると踏み切れないという方も、キャンセル保険を利用すれば、安心して予約に踏み切れるのではないでしょうか。

腰痛や5時間以上の停電
少額短期保険で補償
次にご紹介するのは、腰痛に特化した「腰痛保険」。扱っているのは、LASHIC少額短期保険株式会社です。腰痛保険は、思わぬ事故で腰痛を患ってしまったときに、通院保険金が受け取れる保険です。過去に腰痛を患ったことのある方でも、1年以内に通院していなければ、加入は可能。腰痛が再発した場合でも補償されます。

腰痛保険には、通院保険金が日額2000円の「エコノミープラン」、日額3000円の「スタンダードプラン」、日額5000円の「プレミアムプラン」の3つのプランが用意されています。いずれのプランも月に数百円の負担で、腰痛の通院治療に備えられるほか、死亡保険金や後遺障害保険金の補償も得られます。

3つ目は、ニッセイプラス少額短期保険株式会社が扱う「停電費用保険」。この保険は関西エリアの自宅に関西電力の契約がある人が契約できる保険で、保険料は1カ月100円のワンコイン保険。スマートメーターを利用して停電状況を確認し、5時間以上の停電が発生した場合に生じた損失を、最高1万円まで補償する保険です。

補償対象になるのは、冷蔵庫内の食料品の買い替え購入品代、ポータブル電源器等の購入費、簡易トイレの購入費、故障した家電製品の修理費、自宅から避難先への交通費など。費用の使途によっては、停電が発生した日から支出をした日までに期限が設けられていますが、停電によって発生する費用を、わずか100円で補償してくれるユニークな保険といえます。

大切な家族を保護譲渡団体へ
譲り渡したときも補償
最後にご紹介するのは、SBIプリズム少額短期保険株式会社が扱う「ペット生活総合補償保険プリズムペット」。「いつでもパックライト」「いつでもパックバリュー」「いつでもパックプレミアム」の3タイプが用意されています。保険料負担の一番軽い「プリズムペットライト」の場合、入院時は1日1万円、通院時は1日5000円の保険金が受け取れます。

プリズムペットには、飼育費用補償特約が付帯しています。この特約は、飼い主に万が一のことが起こって飼育ができなくなった場合、保護譲渡団体などへ譲り渡す費用を補償するもの。ペット保護譲渡団体には、動物保護団体、動物譲渡団体、老犬ホーム、老猫ホーム、動物病院での終生預かり施設などが挙げられます。

高齢期に入ってからペットを飼いたいと考えても、「自分が飼育できない状態になったらどうしようか」と悩み、ペットを迎えることに二の足を踏む方もいるはずです。ペットの預け入れに関しては、保険の契約者があらかじめ指定した代理人や相続人などが預入先との交渉をする必要がありますが、プリズムペットに加入することで、飼えなくなったときのリスクを軽減できます。

はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
最新刊『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店)など著書多数。

(ノジュール2024年4月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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