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自転車とアウトドアチェアを借りて水辺へ

渓谷チェアリングのすすめ

文=坂本真由美 写真=松井康一郎

新宿から電車で1時間ほどの秋川渓谷で、チェアリング体験をしてきました。
自然の中、アウトドアチェアに座るだけで、視点が変わり、別世界に。聞こえるのは、川のせせらぎと鳥の声、風に揺らぐ木々の葉の音。
日頃の疲れが吹き飛ぶような、清々しい時間が過ごせます。

チェアを携え自転車で
秋川渓谷の河原を目指す
風薫る5月の朝、JR武蔵五日市〈むさしいつかいち〉駅行きの電車に乗ると、車内は通勤・通学の人でいっぱいだったが、終点に到着するころには、空席が目立つようになった。周辺はハイキング感覚で登れる山が多いとあって、重装備ではないものの、リュックに折り畳み式のトレッキングポールなどを入れた人たちがゆったりと座っている。

ちょっと近所に買い物へという感じの格好でホームに降り立った私は、駅から徒歩2分の東京裏山ベースに向かった。今日はここで、電動アシスト付き自転車とアウトドアチェアを借りて、秋川渓谷の自然を楽しむのだ。目的はチェアリング体験。

東京裏山ベースの代表・神野賢二〈じんのけんじ〉さんによれば、「アウトドアチェアだけをレンタルして、ここから歩いてすぐの秋川まで行かれる方もいますよ」とのこと。自然の中に身を置き、座り心地のいいアウトドアチェアに腰かければ、それはもうチェアリング。風を感じながら、本を読んだりコーヒーを飲んだり昼寝をしたりと、さまざまな過ごし方ができる。あるいは〝何もしない〞というのも、いい選択かもしれない。

店では、自転車やアウトドアチェア、ライフジャケットやハンモック、熱湯が入った保温性の高いボトルのレンタルのほか、ガイドツアーなども行っている。レンタサイクル利用者に渡しているオリジナルマップは、丁寧なリサーチのもとに作られた秋川渓谷を楽しむためのガイドで、川べりに下りられるところやトイレの場所などが記されている。このマップをもとに神野さんが説明してくれた。「駅に近いエリアは住宅街ですが、川べりまで下りられるポイントがいくつかあります。駅から遠くない場所で気軽にのんびりしたいなら、当店から自転車で10分ほどの佳月橋〈かげつきょう〉周辺がおすすめです。また、自然の中で非日常を感じたいという方におすすめなのは、自転車で30分ほど走った辺り。住宅が周囲にありますが、河原に下りると〝川と渓谷と私〞という雰囲気に浸れますよ」と神野さん。昔流行った歌謡曲のタイトルのようなフレーズに、クスリと笑ってしまった。

(ノジュール2024年7月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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