老後に備えるあんしんマネー学 第49回
さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。
今年12月のiDeCoの改正で
掛金が増額になる場合も
iDeCoは、個人型確定拠出年金の通称です。支払った掛金額とその運用実績によって、将来受け取れる年金額や一時金が変動する仕組みです。運用によって得られた利益が非課税になるメリットもあります。
老後の資金を増やす目的で利用されるiDeCoが、今年12月に一部改正されます。そこで今月は、改正点を含めて、iDeCoをご紹介します。
iDeCoの掛金は、
全額が所得控除の対象改正点をご紹介する前に、まずはiDeCoの仕組みをおさらいします。iDeCoは、将来受け取れる年金額を増やす制度です。毎月掛金を支払い、その掛金を運用することで、公的年金の上乗せ年金を作ります。iDeCo で支払った掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になるため、節税効果も得られます。
パートなどで、社会保険料は払っていないけれど税金を払っている方や第2号被保険者(会社員、公務員)に扶養されていて、iDeCoの利用は考えていなかった方も、所得税や住民税を少しでも払っていれば、iDeCoへの加入で節税効果が得られます。
自営業者と被扶養者の
掛金に変更はなしiDeCoは企業などに勤めていても、自分で手続きが必要な制度です。まず、運用を任せたい金融機関を選んで、口座を開設します。口座開設後は、iDeCoの専用サイト内で運用商品の選択や変更などの指示を行います。
iDeCoの運用先としては、投資信託を選ぶのが一般的です。ポイントは、口座開設する金融機関によって、選べる商品が異なること。iDeCoでは、リスク軽減のためいくつかの商品に分散投資するのが望ましいので、運用商品の品揃えなども考慮して、金融機関を決めて口座を開設する必要があります。
運用商品に預金を選ぶこともできますが、預金金利の低さや、利用する金融機関によっては、利息分を上回る管理手数料がかかる可能性を考えると、おすすめはできません。
掛金の最低額は月額5000円。上限額は働き方によって異なります。例えば、自営業者など国民年金の第1号被保険者は月額6万8000円まで、第3号被保険者は月額2万3000円まで。第1号被保険者と第3号被保険者については、12月の改正による掛金額の変更はありません。
企業年金のあるなしにかかわらず
掛金上限は月額2万円に次は、12月の改正で影響を受ける会社員や公務員(第2号被保険者)の掛金をご説明します。この場合、企業年金があるか、ないか。ある場合はその種類で掛金の上限額が異なります。
企業年金には、企業型確定拠出年金の「企業型DC」と、厚生年金基金や確定給付企業年金などの「企業型DB」があります。どちらの制度もない会社に勤めている方の掛金の上限は月額2万3000円。これに対して、例えば「企業型DC」と「企業型DB」ともにある会社に勤めている方や公務員の掛金の上限額は月額1万2000円ですが、12月からは、月額2万円に引き上げられます。
はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
最新刊『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店)など著書多数。