50代からの旅と暮らし発見マガジン

いつまでも元気に旅しよう!病に勝つカラダ 第23回

いつまでも若々しく元気に活動したいし、旅行にも出かけたい。
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見直される認知症対策

白澤卓二先生
(文:大政智子 イラスト:安齋 肇)

敬老の日に厚生労働省が発表したデータによると、
100歳以上の高齢者は6万9785人。過去最多を更新したそうです。
これからは、単なる長寿ではなく、元気に過ごす健康長寿が求められる時代になってきました。
今月は寝たきりの大きな要因となる認知症の予防&治療の最新情報をご紹介します。

これまでの認知症治療は間違っていた!?認知症の大半を占めるアルツハイマー病は、これまで「脳に蓄積される異常なタンパク(アミロイドβ)が原因」と考えられてきました。

ところが、最近、欧米の製薬会社がアミロイドβに働きかける新薬の開発を取りやめるというニュースが続きました。さらに、フランスの厚生労働省は今年の6月に「治療効果が不十分」として認知症の治療薬である「ドネペジル(日本ではアリセプト)」を保険薬から外すと発表したのです。

実のところ、アミロイドβが原因とする仮説を元にした、これまでの認知症治療は根本から間違っていたのではないか、そんな意見が強くなってきています。そもそも、認知症がどうして発症するのかはまだはっきりとわかっておらず、そのうえ、アミロイドβが蓄積していても認知症を発症する人と発症しない人がいることも、これまでの仮説が間違っているのではとささやかれるようになった要因です。

また、これまでの仮説が間違っていたことを裏付けるように、アメリカではそれまでのアルツハイマー病治療の常識を打ち破る治療法が話題となっています。認知症研究の世界的権威であるデール・ブレデセン博士が考案した「リコード法」と呼ばれるもので、今年の5月には「世界一受けたい授業」(日本テレビ)で取り上げられて話題になりました。

リコード法とは、基本的には、脳にダメージを与える要因をできるだけ避け、脳を守る生活を送ることです。生活習慣、なかでも食習慣が大きく影響しています。

ブレデセン博士は約30年かけて続けた研究結果から「アミロイドβは脳を守ろうとする防御反応であり、悪者ではない」と結論づけられています。

アミロイドβが脳に蓄積するのは、さまざまな要因で脳がダメージを受けたからであり、脳へのダメージが大きくなりすぎてアミロイドβが過剰になったときに、神経細胞が破壊され認知機能が低下するとのこと。これまでの仮設を真っ向から否定しています。

ブレデセン博士が考案したリコード法は、患者さんの9割が改善するなどアメリカですばらしい結果を出しています。認知症は「治せる」「予防できる」病気になりつつあると言えます。

日本人向けに進化させた方法とは?とは言え、リコード法はアメリカで考案されたものですから、そのまま日本人に当てはめるのが難しい側面があります。ベースとなる食習慣がまったく違いますし、体質も異なるからです。

そこで、リコード法を日本人向けに進化させ、ふだんの生活で実践できるようわかりやすくまとめた「白澤式神経解毒・再生治療」を提唱する、白澤卓二先生(お茶の水健康長寿クリニック院長)に基本的な対策を伺いました。

具体的には、脳にダメージを与える「糖毒」を避けるため糖質の過剰摂取を避けましょう。ごはんは控えめに、1日3食のうち、1食でも摂れば十分です。白米よりは玄米がおすすめ。

主食のうち、パンやめん類、ケーキなど小麦を使った食品は脳に炎症をもたらすので、できるだけ食べないほうがいい食品になります。

同時に、体内にたまった有害物質の排泄を促すことと、加齢とともに増す炎症対策も必須です。

また、加齢とともに腸の消化・吸収能力が低下してしまうので、腸内環境の改善も心がけましょう。

食べ物には解毒作用のあるものや炎症を抑制するものがあります。有害物質の排泄を促す食品は、香菜、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、クレソン、ルッコラ、大根、アボカド、にんにく、しょうが、わさび、レモン、海藻類、きのこ類などがあります。炎症を抑制する食べ物には、さばやいわしなどの青魚、牧草を食べて育った牛肉、亜麻仁油やえごま油などです。

腸内環境を整えるには、納豆やキムチなどの発酵食品、玉ねぎや長ねぎ、菊いも、さつまいもなどがおすすめ。

これらの食品を毎日の食事に積極的に取り入れましょう。食生活以外に、「睡眠」「運動」「ストレス対策」も大きく関わっています。質のいい睡眠をしっかりとって、適度に体を動かし、ストレスをためないようにすることも、脳へのダメージ減につながります。

しらさわ たくじ●お茶の水健康長寿クリニック院長。
1982年千葉大学医学部卒業後、東京都老人総合研究所などを経て2007〜2016年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。
2015年より白澤抗加齢医学研究所所長。米国ミシガン大学神経学客員教授。
著書に『Dr.白澤のアルツハイマー革命ボケた脳がよみがえる』(主婦の友社)など多数。
ohlclinic.jp

(ノジュール2018年11月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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