老後に備えるあんしんマネー学 第66回

さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。

年金改正法が公布され、
いつから何がどう変わる?

文=畠中雅子 イラスト=谷山彩子

2025年6月13日に、2025年度の年金制度改正法が成立しました。
そこで今月は、今後予定されている年金制度改正の中から、50代の方にも関係のありそうな内容をピックアップして紹介します。

社会保険の加入範囲が緩和
加入者増につながる?
まずは社会保険の加入者の適用の範囲拡大から紹介します。配偶者がパートなどで働いていて、社会保険への加入を悩まれているご家庭は要注意。社会保険への加入義務のラインが変更になりつつあるからです。

改正のポイントをつかむために、現在の社会保険の加入条件を紹介します。

  1. 常時雇用者数51人以上の会社で週に20時間以上働いている
  2. 残業代などを含まない給与が月額8万8000円以上ある
  3. 2カ月を超えて雇用される予定だ
  4. 学生ではない(通信制などを除く)

給与が月額8万8000円以上という条件は、改正法の公布から3年以内、具体的には2028年6月までに撤廃される予定です。撤廃されると、そのほかの条件で加入の可否が決まり、月収が8万8000円に満たなくても加入できるようになる予定です。

次は加入対象のために必要な、常時雇用者数について。今までにも501人以上、101人以上と、少しずつ人数が減ってきており、現行は51人以上になっています。この人数が2027年10月には36人以上となり、2029年10月には21人以上、2032年10月からは11人以上になり、最終的に2035年10月以降は10人以下の会社で働いている方も対象になる予定です。

在職老齢年金の基準額の
変更で年金カット条件が向上
ここからは、在職老齢年金制度の改正にふれていきます。在職老齢年金とは、年金を受給しながら働いた場合、年金額と月収、それに前年のボーナスを12で割った金額の合計額が一定額を超えると、超えた額の年金の2分の1がカットされる制度です。

一定額は毎年のように改定されており、2025年度は50万円になっています。この一定額が、今年春には65万円に大幅に引き上げられます。仮に、月額の年金額が10万円だとすると、今まで年金をカットされずに済む年収ラインは490万円程度だったのが、改正後は660万円程度までカットされずに済むようになります。収入を抑えながら働いている方にとっては、朗報といえるでしょう。

ちなみに、在職老齢年金は厚生年金の制度なので、厚生年金に入らずに働いているフリーランサーなどは、年金と収入の合計額がどんなに多くても、年金カットの対象にはなりません。

はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載をもつほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
『知識ゼロでもきちんとわかる!お金のしくみ』(西東社)など著書多数。

(ノジュール2026年4月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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