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暮らしに寄り添い彩る、素朴な器を生み出す古窯
信楽焼の里を訪ねて〈滋賀県〉
日本六古窯の一つに数えられる信楽の器は、素朴な土の風合いと炎により生み出される独特の特徴があります。
自然に囲まれた山里を訪ねて窯元を巡れば、日常を彩る素敵な器にきっと出合えるはずです。
伝統とモダンが調和した
信楽焼の新たな魅力を発見滋賀県の南東部に位置する甲賀〈こうが〉市信楽町は、鎌倉時代に端を発した焼き物の産地として知られている。「古琵琶湖層〈こびわこそう〉」とよばれる古代の地層からとれる良質な陶土に恵まれていること、窯を築くのに適した傾斜地が多いこと、周辺の山から燃料となる薪が豊富にとれることなどから、信楽は古くから焼き物作りに適した土地だったという。伝統的な信楽焼は、釉薬を施さず土の質感を生かした素朴な風合いが特徴で、侘び茶が流行した安土桃山時代には茶陶としても親しまれたが、現在では現代の生活に溶け込むモダンな食器やインテリアも数多く、日常生活に取り入れやすいふだん使いの器として愛されている。町内には現在も数多くの窯元があり、それぞれに独自の作風をもつ器が生み出されている。
Ogamaは、江戸時代の元和8年(1622)に創業した窯元・明山陶業〈めいざんとうぎょう〉が手がける信楽焼の複合空間。作陶小屋を改装したギャラリーショップや焼き物の体験教室、宿泊施設などが集まり、〝陶〞を通した暮らしや文化を発信している。シンボルの大きな登り窯は、約50年前まで現役で活躍していたもの。薪をくべて火をおこす燃焼室(火袋)と、焼き物を詰めて焼成する9つの焼成室から成る連房式〈れんぼうしき〉登り窯で、伝統的な登り窯の構造を間近に見られるのがおもしろい。ギャラリーショップでは、明山陶業が制作するオリジナルの商品をはじめ、個性豊かな地元の陶芸作家による作品など、多彩な信楽焼に出合える。伝統的な信楽焼をモダンにデザインした明山陶業の食器は、和洋どちらの料理にも合わせやすく、使い勝手がいい。
ギャラリーショップに隣接する一棟貸しのゲストハウスは、信楽焼を身近に感じながら暮らすように滞在できる古民家の宿泊施設。1階のキッチンには信楽焼のご飯土鍋や食器が揃い、実際に使い心地を確かめられるという。寝室のある2階の窓の外には、坂の斜面に窯元が点在する信楽ならではの景色が広がっている。見る、買う、使うなど、さまざまな角度から信楽焼を体感し、Ogamaを後にした。
