老後に備えるあんしんマネー学 第68回

さまざまな情報が飛び交うなか、老後資金に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
お金を上手に管理して、老後を安心かつ心豊かに暮らすための、備えのマネー術を紹介します。

現在の基礎控除は
物価に連動しています

文=畠中雅子 イラスト=谷山彩子

基礎控除は、原則としてすべての対象者が受けられる控除のことです。その基礎控除額が、物価上昇の影響を受ける仕組みに変わりました。少し前まではほぼ一律だったものが、収入によって変動する仕組みになったのです。さらに消費者物価指数を反映させたことで、仕組みはかなり複雑になりました。そこで今回は、2026年に適用される基礎控除額について解説します。

消費者物価指数をふまえて
基礎控除額は変動する
基礎控除を少し振り返ると、2024年は所得が2400万円以下の場合は、一律で48万円が適用されていました。一般的な所得であれば、基礎控除額は48万円だったので、分かりやすい制度といえました。

この基礎控除額が2025年に金額が変わり、さらに2026年にも変更が加えられています。2026年度の税制改正の大綱によると、「見直し前の控除額に、税制改正時における直近2年間の消費者物価指数(総合)を乗ずる」とされています。今回は、2023年11月から2025年10月までの2年間の消費者物価指数の上昇率6.0%(以下、6%)を採用。6%ほど、基礎控除額の基本部分が上がっています。ここで基本部分と書いたのは、現在の基礎控除額には、本則で定められている基本部分に、措置法で定められた金額が加算される仕組みになっているからです。措置法は、特定の目的のために法律上の特例や調整を行う法律のこと。措置法によって基礎控除額に加算額が加えられ、減税の恩恵をより大きくしています。

具体的な基礎控除額については、下図のとおりです。2026年の基礎控除額をご紹介する前に、引き上げを実感していただくために、2025年の基礎控除額からご紹介します。例えば所得が132万円以下の場合の基礎控除は95万円でした。95万円の内訳は、基本額である58万円に、措置法による37万円が加算された金額です。

所得によって変動する基礎控除額

その後、132万円超~336万円以下の場合は88万円、336万円超~489万円以下は68万円、489万円超~655万円以下は63万円になっていました。ちなみに所得の金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を見れば分かります。

2026年の基礎控除は最高104万円にアップさてここからは、本題の2026年の基礎控除額です。2026年の基礎控除額は、2025年の基礎控除額に消費者物価指数の上昇率6%をかけています。具体的には基本額58万円に6%をかけて算出された62万円に、措置法の42万円を加算した104万円になりました。104万円という金額は、所得が489万円以下の場合の基礎控除額ですが、2025年よりもさらに基礎控除額が増えていることがお分かりいただけるでしょう。

給与所得控除についても、物価上昇の影響を受けて、控除額が変動しています。具体的には、2025年の給与所得控除額は、最低保障額が65万円でした。それが2026年は給与等の収入金額が220万円以下は74万円に引き上げられます。これは2025年の65万円に6%を上乗せした69万円に、特例の5万円が加算された金額です。ただし、850万円超の場合は昨年と変わらず195万円になっています。

はたなか まさこ
ファイナンシャルプランナー。
新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載をもつほか、セミナー講師、講演を行う。
「高齢期のお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。
『知識ゼロでもきちんとわかる!お金のしくみ』(西東社)など著書多数。

(ノジュール2026年6月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)

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