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浜名湖花フェスタ2019開催中

世界一美しい
「桜とチューリップの庭園」へ

文:内田 晃 写真:中田浩資

“日本の春は浜名湖から。”をキャッチフレーズにした静岡県の『浜名湖花フェスタ2019』が6月30日まで開催中です。
浜名湖周辺の花の名所がリレー形式で花の見頃を迎え、来場者を楽しませてくれます。
翌日はローカル線を使い、名刹と花の名所を巡り、掛川駅へ。
ちょっと欲張りな花旅です。

心が震える感動の
花景色がそこに
花より団子。さほど花に興味がなかった私を一変させたのは、栃木県足利市にある「あしかがフラワーパーク」の大藤だ。樹齢150年、約1000㎡に枝を広げ、紫の花を付けた房が幾筋も垂れ下がる様子はまるで花の雨のよう。花の美しさに圧倒され、時間も言葉も忘れて、見続けたものだ。

この大藤の移植を手がけたのは日本初の女性樹木医・塚本こなみさん。現在は「浜名湖花フェスタ2019」メイン会場のひとつ「はままつフラワーパーク」の理事長を務めており、次なる“花の魔法”に期待が高まった。はままつフラワーパークはJR浜松駅からバスで40分ほど。浜名湖の北東側に位置し、東京ドーム約6・5個分(30万㎡)の広さ。起伏のある自然の地形を上手に使い、四季を通じて花が楽しめる。なかでも、3月下旬からの桜とチューリップは見事だ。「1300本の桜と50万球のチューリップが一緒に観賞できる施設はないので、世界一美しい桜とチューリップの庭園としました」

園内を案内してくれた塚本さんはそう微笑む。花の数に加えて、見せ方の工夫もある。たとえば、日本庭園。池を囲むように桜やチューリップが植えてあり、その足元には青々とした芝生が敷き詰めてある。「芝生の色が白や茶だと華やかさに欠けますよね。そこで、この時期に緑色になる西洋芝の種を前年の秋に蒔いています。中途半端な仕事では人を感動させることはできません」

ただし、仕事の進め方は“植物の都合に人間が合わせる”が絶対。植物のメカニズムを勉強して、よく観察することが大事という。今春、初の夜間開園が行われる藤棚も植樹から9年かけて、1・7mの房を付けるまでに成長した。このほか、花フェスタの特別企画として、樹齢150年余、樹高3〜5mに仕立てた巨大盆栽と庭石で和庭園の美を表現した「大物盆栽展」を行っている。「気持ちが沈んでいても、きれいな花を見ると癒やされますよね。日常生活の嫌なことを忘れて、明日も頑張ろうという気持ちになってもらえたら嬉しいです」

花に込めたスタッフの想いが、より花を美しく、輝かせるのかも知れない。

(ノジュール2019年4月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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