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こだわり1万円宿 第38回

旅ライターの斎藤潤さんおすすめの、一度は泊まってみたい宿を
「予算1万円」に厳選して毎月1宿ご紹介します。

東京都

アイランドスターハウス

旅好きの心を知り尽くす、宿主の心配りが光る宿

プランはオーダーメイド
旅人に無二のくつろぎを
迎えに来てくれた宿主竹内英〈たけうちすぐる〉さんのクルマが脇道に入り、しばらくするとまわりは林となった。この先に本当に宿があるのか。そう思いはじめた頃、あたりを照らすような黄色い建物が現れた。

いらっしゃいと言っているような、フレンドリーな雰囲気の漂う家が、今晩の宿だった。脇には、クラシカルな黒いフォルクスワーゲンがとまっている。竹内さんの愛車で、1957年式だ。

屋根には✩のマークが描かれ、玄関の扉のガラスは、黄色、ピンクや緑に塗られ、手作り感と宿主の想いが満載だ。「友人たちに手伝ってもらい、毎週のように島へ通って、3年かけてリフォームしました。屋根に描いた✩は、飛行機からも見えるそうです」玄関に入ると、左の壁には大島の立体地図、右手には靴を置く棚があった。

宿主は常駐していて、旅人の相談にいろいろとのってくれるという。

前掛けやTシャツなど、宿オリジナルグッズの並んだショーケースの前を通って、共用のリビングに案内された。

天井は吹き抜けで、正面の窓の向こうにはゆったりとした庭が広がっていた。ウッドデッキがあり、庭一面に白と灰色の玉砂利が同心円を描くように敷き詰められていた。まるで、石庭のよう。

リビングには、革のソファや古いトランク、ギター、ハンモック、旅の本、仮面などが、さりげなく置いてあり、宿主のこだわりと趣味のよさを感じる。

宿主にかまって欲しいか、放っておいて欲しいか、島人と交流したいかなど、要望を伝えるアンケートに答える。

温泉に島寿司
大島の恵みを堪能
素泊まりなので、自炊するか近くの食堂へ食べに行くことになる。グループでBBQをしたければ、セットを貸してくれるし、炭(有料)も用意してある。

台所には、IHクッキングヒーター、冷蔵庫、電子レンジ、食器、基本的な調味料、コーヒーや紅茶なども備えられていて、自由に使っていいという。

客室は、2階に2部屋あり、両方とも板の間にマットを敷いて寝る形式。壁も天井も白木で、屋根に取り付けられた三角窓から射しこむ光は自然の照明だ。

部屋の前はリビングの上にテラス状に張り出し、椅子とテーブルがセットされ寛ぎのスペースになっていた。

2つあるトイレは、いずれも洗浄機付き便座の最新式。夏は海で遊ぶ人も多いので、洗濯機と干場もそろっていた。痒い所に手が届く設備に感心していたら、「自分も旅が好きで、こうであったら嬉しいという宿を作りたかったんです」

バスタブ付きの風呂もあったが、竹内さんお勧めの源泉かけ流しの“湯の宿くるみや”へ、連れて行ってもらった。帰りはスーパーで、島寿司や酒の肴を購入。

友人の紹介で知った宿ということもあり、あらかじめ声をかけてもらっていたので、夜は島人が何人か遊びにきてくれ、島話で大いに盛り上がった。

さいとうじゅん●1954年岩手県生まれ。ライター。テーマは島、旅、食など。
おもな著書に『日本の島 産業・戦争遺産』、『日本《島旅》紀行』、『島ー瀬戸内海をあるく』(第1〜第3集)、『ニッポン島遺産』、『瀬戸内海島旅入門』などがある。

(ノジュール2019年5月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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