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「新時代医療(ネオメディカル)」のススメ 第6回

日々進歩する予防医学。
新元号となる2019年は、“未病”対策を見直してみませんか?
新時代の健康なカラダ作りのために知っておきたい、医療業界の最新トピックスを毎号お届けします。

ストップCVD!
健康長寿には脳卒中と
心臓病対策

篠原隆雄先生
(文:大政智子 イラスト:安齋 肇)

日本人の死因の第2位は心臓病、第3位は脳卒中です。
これらはまとめてCVD(脳心血管病)と呼ばれ、75歳以上の後期高齢者では、がんよりも死亡者数が多く、医療費は2倍かかると言われています。
今月はCVD対策について長年、脳卒中治療に携わる篠原隆雄先生にお話を伺います。

5年間で死亡率の5%減少が目標!国のCVD対策脳卒中には、脳の血管が切れる、詰まるといったトラブルで起こる脳出血や脳梗塞、くも膜下出血などがあります。

脳卒中と同様に日本人の死因の多くを占める心臓病の代表と言えば、心筋梗塞や心不全。これらは医学用語ではまとめてCVD(脳心血管病)と呼ばれ、血管に関連した病気の総称となっています。

CVDは高齢者での発症が多く、突然死や重篤な後遺症をもたらし、患者さんだけでなく家族にも大きな負担を及ぼす、予後が悪い病気です。

厚生労働省が平成25年に発表したデータによると、男性は約9年、女性は約12年の寝たきり期間があると報告されているのですが、寝たきりになる要因の約25%をCVDが占めています。こうした現状から、国はQOL(QualityofLife/生活の質)を維持し、健康的な老後を過ごすためにはCVD対策が必要と見なし、日本脳卒中学会と日本循環器学会、厚生労働省が連携して、2016年末に「脳卒中と循環器病克服5カ年計画」を発表しました。

具体的には、適切な治療を提供するための人材の育成や医療・介護体制の整備が中心ですが、国民への予防啓発も目標のひとつになっています。

予防には「喫煙」「塩分や脂質や糖質の過剰摂取」「多量飲酒」「運動不足」といった危険因子を避けることが第一で、これらは日常生活の改善が必須です。

どれも健康長寿のためには基本的なことではありますが、まずはタバコをすっぱりやめましょう。肥満を解消するには食生活の見直しと適度な運動です。運動だけでやせるのは難しいので、食事を改善しましょう。

食事は「それだけを食べていれば健康になれる」ものはありません。特定の食材だけを食べるのは単なる偏食であり、栄養バランスがかえって崩れてしまいます。ごはん、肉、魚介類、卵、大豆製品、野菜、きのこ、海藻、果物などをバランスよく食べましょう。

そして、適度な運動も必須です。運動することで足腰の筋肉が鍛えられて寝たきり予防になりますし、心肺機能の維持につながるからです。

これらは健康長寿のための基本。心に とめておいてください。

高すぎるコレステロールは要注意のサインCVDの発症には動脈硬化が関わっています。動脈硬化とは血管の内側に酸化したコレステロールなどが沈着し、血管のしなやかさが失われたり、血管内部が狭くなったりして、切れたり詰まりやすくなった状態のことです。

動脈硬化の発症には食生活が大きく関係しているのですが、長年、脳卒中などの治療に携わっている篠原先生が現在もっとも憂慮しているのが、動物性脂肪の過剰摂取です。

これまでの研究データから、脂身の多いサーロインステーキやバターなどの動物性脂肪を過剰に摂取している人は、コレステロールや中性脂肪が高くなる傾向がみられ、CVDのリスクが高まることが指摘されています(このほか揚げ物や過度な糖質もリスクとなる)。

にも関わらず、このところ「コレステロールは高くても問題ない」と主張する医師が増えています。

確かに、コレステロールのなかには、過剰なLDLを回収して動脈硬化を防ぐ、善玉と呼ばれるHDLがあります。悪玉と言われるLDLも、酸化しやすい“超悪玉コレステロール”が動脈硬化の危険因子であり、それが多くなければ高くても大丈夫とも言われます。

一般的な健康診断ではかるコレステロール値は、血液中のコレステロールの総量である「総コレステロール」「HDLコレステロール」「LDLコレステロール」です。LDLが超悪玉かどうかまでは調べません。しかも、3つすべてをはかるわけではなく、医療機関によってまちまちです。

総コレステロールが高くても、HDLが高くLDLは低いのであれば、それほど心配ありませんが、LDLが高い場合は要注意です。もしかしたら超悪玉コレステロールが多いのかもしれませんから。

超悪玉コレステロールがなぜ多くなるのかはまだわかっていませんが、篠原先生はこれまでの臨床経験から「CVDを発症している人はLDLが高い」と断言します。LDLが高い人は、食生活を見直すことをおすすめします。

しのはら たかお篠原クリニック院長。1989年東海大学医学部卒業。
東京医科大学病院、秋田県立脳血管研究センターなどを経て、脳卒中の救急を中心に臨床に従事、2003年に開院。専門は神経内科、内科。
周辺の総合病院と連携して地域の脳卒中医療の発展に尽力。アンチエイジングフード協会リーダーマイスター。
www.shinohara-clinic.com

(ノジュール2019年6月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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