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雲上の北アルプスを満喫

西穂高岳(穂高岳)

文:福崎 剛 写真:安達征哉

深田久弥の『日本百名山』のなかでも、人気のある穂高連峰。
新穂高温泉の奥にある新穂高温泉駅からロープウェイを乗り継げば、一気に雲海を抜け、目の前には西穂高岳や槍ヶ岳、笠ヶ岳など北アルプスを代表する3000m級の山々が広がります。
さぁ、興奮と感動の大パノラマの世界へ飛びこみましょう。

新穂高温泉から
ロープウェイで一気に雲上へ
日本の山岳を代表する穂高連峰の一角、西穂高岳へのアプローチは、上高地からと新穂高温泉側からの2つのルートに分かれるが、雲上の大パノラマを手軽に楽しむなら、1泊2日でロープウェイが利用できる新穂高温泉を目指そう。松本駅前のバスターミナルから新穂高行きのバスに乗れば、約2時間で終着の「新穂高ロープウェイ」に到着する。停留所に降り立つと、飛騨山脈と穂高岳に水源を持つ蒲田〈がまた〉川の力強い水音が響き、山おろしの風に涼やかさを感じる。温泉の源泉が近いためか、風向きによって硫黄の匂いがときどき漂って来る。宿泊先の「ホテル穂高」に着替えなどを先に預け、荷物を最小限にして第1ロープウェイに向かう。乗車時間4分ほどで、鍋平高原駅に到着する。駅舎を出て山野草ガーデンを横切った先に、第2ロープウェイのしらかば平駅がある。構内にはレストランや「アルプスのパン屋さん」、屋外には足湯などがあるが、まずは山頂を目指そう。

いよいよ出発時刻が近くなり、2階建ての大型ゴンドラに乗り込む。全長2598mの第2ロープウェイは、出発してすぐに高度を稼ぎはじめる。周辺の美しい山並みが鮮明に立ち現れ、その山々が迫ってくる印象だ。まるで空中遊泳している感覚のなか、わずか7分で一気に雲上の世界へ到着した。

360度の大パノラマ
迫力の百名山と向き合う
山頂駅展望台は西穂高口駅の屋上にある。展望台に上がると最初に目に飛び込んでくるのは、標高2909mの西穂高岳の迫力ある山容だ。上高地からでは見られない頂上やピラミッドピーク、独標〈どっぴょう〉といった起伏がはっきりとわかり、西穂高岳の堂々とした偉容に感激をおぼえる。その頂上の先にはさらに厳しい起伏のジャンダルムに続き、奥穂高岳から北穂高岳、南岳、槍ヶ岳まで、“大キレット”と呼ばれる険しい尾根が続く。さらに東方向には飛騨山脈の双六岳〈すごろくだけ〉や抜戸岳〈ぬけどだけ〉、そして百名山にも数えられる笠ヶ岳〈かさがたけ〉だけが並んでいる。ロープウェイの向こう側に迫る笠ヶ岳は、その名の通り、山頂部が笠を被ったような形で、その迫力は圧巻だ。遠くには石川県の名峰・白山の姿も見える。さらにぐるりと左へ視界を移すと、活火山の焼岳〈やけだけ〉がどっしりと構えている。展望台は360度の大パノラマが広がり、あたかも雲上人になったかのような気分だ。3000m級の山々と対峙している興奮が高まるばかり。天候によっては、雲海が遠くまで続き幻想的な風景が堪能できるそうだ。この感動を忘れないうちに写真におさめ、売店の「ピークス・カフェ」でフォトジェニックなドリンクで喉をうるおす。オリジナルメニューも多く、ドリンクの色が変化する穂高ブルーティーや抹茶パウダー、頂クッキー付きのソフトクリームは、インスタ映えするので北アルプスの山並みと一緒に撮影しようと注文する人も案外多い。

展望台の眺めを満喫し、駅舎3階からつづく千石〈せんごく〉園地に出た。ここは木道などが整備され歩きやすくなっており、登山の経験がなくても散策を楽しめる。敷地内には、槍ヶ岳を開山した播隆上人〈ばんりゅうしょうにん〉の石像や北アルプスの鳥瞰図も設置されている。周囲に樹木があるせいか、展望台とは雰囲気が異なり、北アルプスを身近に感じることができる。登山案内所の小屋から先は険しい登山道になるため、充分な装備をした登山経験者以外は立ち入らないことだ。

(ノジュール2019年8月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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