サクッと15分 京懐石の老舗が教える旬のおかず 第4回

創業85年の京料理店「木乃婦」のご主人に教わる旬の食材で作るおかず。
京の老舗の味を家庭で手軽に楽しみましょう。

焼き大根とブリの煮物

文=山口春菜(エディットプラス) 写真=鈴木誠一

ブリの旨みが引き立てる
大根本来の甘みと食感
さまざまな料理に使える万能野菜の代名詞、大根。最近は季節に合わせて多彩な品種が栽培されているが、冬の大根はとくにみずみずしくて甘みが強い。加熱することで一層甘さが増す。まさに大根は、おでんや煮物といった冬の味覚に欠かせない存在だ。

今回は、その大定番のブリ大根。「じっくり煮込んでブリの脂や旨みを大根に吸わせるのが、一般的なブリ大根ですが、今回は、最後の仕上げでさっとブリに火を通す程度です。あっさりしすぎないよう、油で大根を焼いてバランスをとります」と、髙橋さん。その言葉の通り、輪切りの大根は下茹ですることなく、たっぷりの油で焼き上げる。「油のコクが加わるだけでなく、焼くことで甘みがさらに増しますし、香ばしさも加わります」。大根に焼き色が付いたら、煮汁の入った鍋へ。「冬の大根は水分が多くて繊維がやわらかいので、火の通りも早いですよ」。わずか5分ほどで串が通るやわらかさに。片栗粉でとろみをつけた煮汁に、しゃぶしゃぶ感覚でブリを絡めれば、ブリもふっくらジューシーな仕上がりだ。「大根は歯ごたえを残して仕上げているので、ぜひその食感も楽しんでください」。

作り方

  1. ブリは1.5〜2㎝幅のひと口大に切り、さっと熱湯に通して臭みを取り、水気を切っておく。生姜は細かく刻み、大根は厚さ1.5㎝くらいの輪切りにして、皮をむく。

  2. フライパンに少し多めのごま油(サラダ油でも可)を入れて熱し、両面にほんのり焼き色が付くくらいまで焼く。

  3. 鍋に出汁、薄口醤油、みりん、酒を入れ、《2》を入れて火にかける。ペーパータオルなどで落とし蓋をして、串がスッと通るまで大根に火を通す。

  4. 《3》に生姜を入れ、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。ブリを加え、煮崩れないよう混ぜ合わせて火が通ったら器に盛り、すりおろした柚子の皮をふりかける。

京料理 木乃婦〈きょうりょうり きのぶ〉
電話: 075-352-0001
住所: 京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416
営業時間: 11時30分~14時30分、18時~19時30分
定休日: 水曜
予算: 昼のミニ会席5500~7700円、旬の会席1万
5750円~2万7500円

(ノジュール2021年1月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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