サクッと15分 京懐石の老舗が教える旬のおかず 第9回

創業85年の京料理店「木乃婦」のご主人に教わる旬の食材で作るおかず。
京の老舗の味を家庭で手軽に味わいましょう。

蛸とオクラの冷やし物

文=山口春菜(エディットプラス) 写真=鈴木誠一

旨みを増した弾力あるタコを
梅干しとともに冷たい出汁で
青もみじが眩しいこの季節、高橋さんが選んだメニューは、ほどよい弾力のタコとみずみずしい夏野菜を冷たい出汁でいただく「冷やしもの」。一年中いつでも手に入るタコだが、マダコは主に夏が旬。「サイズはそれほど変わりませんが、夏は甘みや旨みが強くなりますね」。

調理は野菜の下準備から。キュウリはピーラーを使って縦にスライスすると、見た目がきれいなだけでなく、口あたり良く仕上がる。オクラはひと手間かけて塩ずりをしておこう。「うぶ毛を取ると、炊いたときにきれいに発色しますし、出汁の味も染み染み込みやすいですよ」。

今回の味付けは出汁と梅干しでさっぱりと。オクラを炊いた出汁は冷やすととろみが出るが、これを泡立てると、あっという間にメレンゲのような状態に。「旬のオクラは粘りが強いので、ハンドミキサーがあれば簡単に泡立ちます。泡立てることで出汁の香りも引き立ちますよ。ハンドミキサーがなければもちろんそのままでも大丈夫です」。仕上げに添えるのは、塩抜きした梅干し。「梅の酸味が出汁に加わって、さっぱりした味わいに仕上がります。塩抜きした梅干しは、塩味も酸味もやわらかいので、いろいろな料理に使えて便利ですよ」。

作り方
※下ごしらえ
鍋に水と梅干しを入れ、30分ほど煮て塩と酸味を軽く抜く。

  1. キュウリをピーラーで薄くスライスし、氷水でさっと洗う。セロリは3〜4㎝幅に切り、皮をむいて薄切りにし、軽く水にさらす。タコは食べやすい薄さに切る。

  2. ヘタを切ったオクラは、一つずつ塩でうぶ毛をこすり、水洗いする。

  3. 鍋に出汁・薄口醤油・塩を入れ、煮立ったら《2》を入れる。箸が刺さるくらいにやわらかくなったら、火から下ろして鍋ごと氷水で一気に冷やす。冷えたらオクラを食べやすい大きさに切る。

  4. 器に《1》、オクラ、塩抜きした梅干しを盛る。《3》の出汁をハンドミキサーで泡立てて、回しかけ、すりおろした青柚子の皮を振る。(出汁はそのままかけてもよい)

京料理 木乃婦〈きょうりょうり きのぶ〉
電話: 075-352-0001
住所: 京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416
営業時間: 11時30分~14時30分、18時~19時30分
定休日: 水曜
予約: 旬の会席1万6500円~2万7500円

(ノジュール2021年6月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
ご注文はこちら