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伊勢志摩エバーグレイズ

水辺のヴィラでプライベートな
ステイとアクティビティ

文=土井ゆう子 写真=伏木博

日本におけるグランピング施設の草分け的存在であり、ヨシが茂る湿原の環境を生かした伊勢志摩エバーグレイズ。
ヴィラタイプの宿泊棟では、目の前に広がるプライベートラグーンを眺めながら、刻々と変化する光や風を感じられ、幻想的な水辺の時間が、記憶に残る滞在にしてくれます。

フロリダのような自然の中
カヌー付きの
おしゃれなヴィラへ
チェックインの手続きをする管理棟の前には、伊勢志摩エバーグレイズのシンボルフラッグと日の丸、そして星条旗が並んではためいている。場内にはカラフルなキャビンが並び、アメリカ本土南端のビーチにあるサインプレートや、アメリカの東海岸を南北に貫く国道US-1(国道1号線)の起点・終点を示す「マイルマーカーゼロ」のロードサインなどが点在する。

そんなザ・アメリカンな雰囲気の中を、敷地の奥の方にあるグランピングヴィラへと向かう。本日ステイする「グランピングカリブ808」に入った瞬間、子どもの頃に大好きだったテレビドラマ『わんぱくフリッパー』を思い出した。フロリダを舞台に、公園警察官の父と息子たち、そしてイルカのフリッパーが活躍する海洋冒険ドラマだが、劇中の彼らの住まいは入り江のすぐそばにあり、桟橋にはボートが係留されていて、いつでも海に出られる環境。子ども心に、大人になったらあんなところに住みたいなぁと夢みたものだ。

ここは、その憧れのライフスタイルを思い起こさせる。目の前に広がるのは(海ではないが)、ヨシが茂る湿原の風景。川から引き込まれた水と、的矢〈まとや〉湾の海水が入り混じる潟〈かた〉となっている。メダカやトンボなどの水生生物、約50種類を超えるカモやサギなどの野鳥が生息し、県内有数の渡り鳥の飛来地としても有名だという。「当施設は伊勢志摩国立公園の中にあるのですが、アメリカ・フロリダ半島の南端にあり、世界遺産にも登録されているエヴァグレーズ国立公園と共通点が多いことからこの名が付けられています。淡水と海水が交わり、ソーグラス(ススキ状の水生植物)が茂る風景が、よく似ているんですよ」とゼネラルマネージャーの村山智志〈むらやまさとし〉さん。

カリブと名付けられたヴィラはソファやベッド、シャワーやトイレを完備した室内と、その部屋よりも広々とした屋外デッキが水辺に向かって設置されている。デッキはダイニングやバスタブ、ハンモック、サンラウンジャー(アウトドア用の寝椅子)のあるスペースと、ファイヤーピット(焚き火台)とベンチを配した2段構成。傍らには、カナディアンカヌーを備えた桟橋もある。室内のチェストの中には双眼鏡も。野鳥観察だってできる。「フリッパー!」と叫んでもイルカは現れないが、すぐ目の前では数匹のカメが水面から首を出したり、引っ込めたり。なんとものどかな時間が流れている。ハンモックに寝転がってみると、自然と大きな空を見る体勢になった。水辺を吹き抜ける風が心地いい。

(ノジュール2021年10月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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